森光子「放浪記」国民栄誉賞ついに正式決定!

[ 2009年5月30日 06:00 ]

「放浪記千穐楽」で国民栄誉賞を祝う王貞治ソフトバンク球団会長からの花束を手渡され笑顔の森光子

 舞台「放浪記」の単独主演2000回を達成した女優の森光子(89)=本名・村上美津=に国民栄誉賞が授与されることが29日、正式に決まった。河村建夫官房長官が午後の記者会見で発表した。17人目の授与で、女優では初めて。森はこの日、東京・丸の内の帝国劇場で「放浪記」の千秋楽を迎え、通算2017回まで伸ばした記録のさらなる更新を宣言した。

 特別カーテンコールでは「2017回達成!」の文字が書かれた巨大ボードの下に、森ら出演者44人が勢ぞろいした。司会を務めた俳優の丸山博一(74)が「ビッグニュースが飛び込んで来ました!」と国民栄誉賞の正式決定を伝えると、くす玉が割れ、ステージ左右から七色の紙吹雪が吹き出した。その瞬間、森は右手を口元に当てて、感極まった表情に。鳴りやまない拍手の中、「何度も劇場に来てくださったみなさまが一緒につくってくださった舞台ですから」と客席に繰り返し頭を下げ、観客と一緒にたどり着いた同賞と2017回を強調した。
 第3幕の前の休憩時間に楽屋を訪れた森喜朗元首相から報告があったというが、観客約1800人や共演者と一緒に味わう感激は格別な様子。同賞1号のソフトバンクホークスの王貞治球団会長(68)から花束も届き、笑顔を輝かせた。
 計22回の帝劇公演は今月5日に開幕し、誕生日の9日に2000回達成。1961年10月の初演から48年目で金字塔を打ち立てた。そこから、さらに20日間、舞台を務めて“完走”し「(森が演じる)林芙美子役にきょうでお別れするなんて思ってません。引退なんかしません。もっと表現力が豊かな女優になって、いい舞台をみなさんにお届けしたい」と勇退は否定。今後も女優活動を続ける意欲を強く示した。
 国民栄誉賞は“政権の人気とり”などと指摘されることもあるが「きょうは夢みたい。幸せな思いをさせてもらえて本当にうれしい。受賞にはお礼の言いようもないです」と喜んだ。その上で、客席で観劇していた森元首相に「同じ森さんですね。日本は今、つらいことがたくさんあります。私たちも豊かな心で若い人たちを引っ張っていきますから、私たちのこの日本をいい国にしてください」と注文。「偉そうなこと言っちゃったかしら。選挙に出るわけではありませんよ」と付け加えて会場を笑わせるなどユーモアも健在だった。
 今後は、静養し体調を整える。関係者は「テレビ出演などが控えていますが、その後、次の“放浪記”公演へ動きだすことになるでしょう」と話した。

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2009年5月30日のニュース