西山繭子が執筆!父の不在が物語の核

[ 2008年3月20日 06:00 ]

初の長編小説「しょーとほーぷ」を発売する西山繭子

 直木賞作家・伊集院静氏(58)の二女で、女優の西山繭子(30)が初の長編小説「しょーとほーぷ」(マガジンハウス)を21日に出版する。家を出て行った父と小学生の娘の微妙な関係を描いた作品。実際に両親が幼い時に離婚、伊集院氏と一緒に暮らした記憶がないという西山は「父親がいなかったことが、書くことの核になっている」と話している。

 たばこの「ホープ」と「はかない希望」の2つの意味を持つ初の長編小説には、父親に対する西山の思いが込められた。
 父親と離れて暮らす少女の1日を描いた作品。小学4年の凛(りん)は家を出て行った父親の愛情を確かめるため、自ら誘拐を計画。偶然居合わせた男性3人に「自分を誘拐しないか」と持ち掛け、父親に身代金を要求する。昨年の初めから10月にかけて、携帯電話のサイトで連載した文章をまとめ、400字詰め原稿用紙280枚の力作となった。
 西山が2歳の時の1980年、両親が離婚しており、「1度も一緒に暮らした記憶がない」(西山)。一方、伊集院氏は84年に故夏目雅子さんと再婚した。風変わりな展開の中にみられる純粋な少女と父親の微妙な関係は、西山と伊集院氏の関係と重なる。
 「子供の頃、誘拐されたら(父は)どうするんだろうって考えていた。自分のことをどう思っているのか知りたくて…。でも我慢して聞けなかったので、それを彼女(凛)にやってもらった気がします」
 昨年7月に短編集「色鉛筆専門店」で作家デビュー。その中の1作「緑色のグローブ」でも、母子家庭で父親とのキャッチボールにあこがれる少女の寂しさを描いている。「本業が役者なので父と同じ壇上に上がるのは失礼だと思っていますが、父親がいなかったことが書くことの核になっています」と話した。
 今年2月、伊集院氏と6年ぶりに再会。「今度長編を出しますと話したら、“そうですか、飛ばすね”と言っていました。(小説の)内容は明かしませんでしたが、どう思ってくれるんでしょうね」と父の反応を楽しみにしているようだった。

 ◆西山 繭子(にしやま・まゆこ)1978年(昭53)1月21日、東京都生まれの30歳。大妻女子大卒。97年に「ユーハ味覚糖」のCMでデビュー。ドラマ「GOOD LUCK!!」「エジソンの母」など出演作多数。現在、東京・池袋のサンシャイン劇場で舞台「きみがいた時間 ぼくのいく時間」に出演中。特技はバトントワリング。1メートル65。血液型A

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