ソフトB尾形崇斗 オスナとの出会いで心身ともに成長「そのレベルまで行かないと」感謝を胸に前進

[ 2023年12月17日 12:44 ]

契約更改を終え会見するソフトバンク尾形崇斗
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 サンキュー男は、いつも以上に、やたら自信に満ちあふれていた。感謝を示す背番号「39」でおなじみ、ソフトバンク尾形崇斗(24)が7日に契約を更改した。100万円増だったが明らかに、その興奮、鼻息の荒さではなかった。どうしたんや、と思ったが心と体の手応えアップの感覚を提示してきていた。

 「6月のオスナとの出会いから、前向きでポジティブに自分を探していけるようになった。マウンドで“どうしよう”とか思わない。それが収穫ですね」

 今季6月11日に尾形が「特例2023」で1軍昇格したときから、自信は植え付けられていった。ペイペイドームのウエート室。通訳を介し、1軍不動の守護神ロベルト・オスナに話しかけられた。「お前なら俺に付いてくることができる。明日から12時30分にドームに来なさい」。オスナはナイター戦登板前に過酷なウエートを課し準備を続けていた。

 「200キロのバーを担いでスクワットしたあとに試合で投げて翌日もウエート。僕には考えられなかった。オスナが固定概念から壊してくれた感じです」

 メキシカンの師匠に、ひたすらに食らいついた。「お前は強い!お前はできる!」と言い聞かせられ、120キロのバーは130キロと負荷も着実に増えていった。その間に、メンタル面も学んだ。「マウンドでは何を考えているんですか?」。即答された。「仕事に何の感情もない。“無”だ」。何か響き、分かったような気がした。

 尾形は結果としても変わっていった。6年目の今季は1軍戦キャリアハイの12試合に登板できた。1球投げるごとに気迫が出過ぎて帽子が飛んだ。その際も師匠は、弟子の姿を見逃さなかった。「ブルペンにいるときから帽子のヒモを締めていけ!」。帽子を拾う回数も減っていった。

 ウエスタン・リーグでは小久保2軍監督のもと守護神を任されて16セーブ。同タイトルも獲得できた。球速も自己最速を3キロ更新する157キロまで伸びた。「春キャンプから来年は100マイル(約161キロ)に到達したい」。ぐいぐいと仕事への気持ちが、前向きになっていった。

 そんな尾形も、かなりストイックタイプの努力家として知られる。これまでシーズン後の時期は朝、起床してジョギング。朝食後にストレッチし坂道を全力ダッシュ。昼食後にジョギングでペイペイドームに行き、ウエート。再びジョギングで帰宅する過酷メニューを課していた。そんな男がオスナとの出会いで、さらに心において進化、前進を遂げた。間違いなくプラスだ。

 「グローバルなトッププレーヤーになりたい。お手本となる存在がいる。競うのではなく、そのレベルまで行かないと。行けるように」。来春2月1日からのアピールが始まるが、新指揮官は2軍登板時代からを熟知している。やることも、分かっている。筑後ファーム施設を中心に単独での自主トレを敢行予定で「朝6時か、7時からトレーニングをして、あとは夕方まで打者のデータを見る。冷静かつ大胆さで勝負していきたいです」。オスナへの感謝を胸に、尾形は休むことなく、プラスなことだけを考えていくらしい。(記者コラム・井上満夫)

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