能見篤史氏　制球も投球術も素晴らしかった阪神・西勇と、好投を引き出した坂本のリード

セ・リーグ   阪神1―0巨人 （ 2023年9月12日    甲子園 ）

能見篤史氏
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　【能見篤史　視点】阪神・西勇は制球も投球術も素晴らしかった。打者の膝の高さで、内角から外角まで引いたライン上に真っすぐも変化球も集めた。併殺を含めると、ゴロで奪ったアウトは12個。被安打2はいずれも単打と満点に近かった。

　同じ球種でもカウント球と勝負球に強弱をつけていた。例えば9回1死一塁で梶谷に最後は138キロスライダーで一塁へのハーフライナー。バットを真っ二つにへし折って完全に詰まらせた。3打席目までに投じた4球のスライダーよりも（一つは外角）、腕をしっかり振って押し込んでいた。長打を避けたい場面。リスクを考えれば外角球を続けたいところで、最も厳しい内角低めに制球できたのは見事だった。

　捕手の坂本のリードもさすがだ。初球にストライクを取ると、2球目はコースぎりぎり、時にはボールゾーンに構え、ここより絶対に内へ入らないようにとジェスチャーしていた。走者を背負うとマウンドへ行き、西勇と意思の疎通、最終確認をしていた。

　岡田監督は西勇を9回も続投させた。球数が少なかったことや7連戦の初戦だった事情もあるが、8回も簡単に3人で片付けたのをみて、動くよりも、それまでの流れを優先させたのだと思う。岡田監督の勝負勘は、リーグ優勝を目前にしてもさえていた。（本紙評論家）