日本ハム・長谷川が2軍で10試合連続無失点 飛躍の裏に“師”へ送った一通の長文メッセージ

[ 2023年9月13日 08:00 ]

日本ハム・長谷川威展
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 是非、1軍のマウンドで見てみたい。そう思わせてくれたのが「タケコバー」こと、日本ハムの大卒2年目左腕・長谷川威展(たけひろ)投手(24)のことだ。

 12日のイースタン・リーグDeNA戦(鎌ケ谷)で、長谷川は5―5の9回から6番手で登板。先頭の大橋を左飛に打ち取ると続く松尾、村川を連続の空振り三振に仕留めた。DeNA・エスコバーのような変則気味なゆったりしたテイクバックから、キレある直球とスライダーを織り交ぜて三者凡退。これで、10試合連続無失点をマークするなど圧巻の投球内容だった。

 今季は5月23日に1軍昇格。初登板となった同日のソフトバンク戦から3試合連続無失点を継続するも、当時は宮西、河野、福田俊ら左腕が潤沢だったこともあり、6月20日に出場選手登録を抹消されていた。それでも、決して下を向くことなく今できることに注力。現在イースタン・リーグで最多タイの8勝をマークするなど、確実にリリーフとして成長していた。

 左腕の進化を後押したのは昨オフだ。尊敬する宮西との合同自主トレに志願して参加した。高校時代にサイドスローに転向直後、フォームの参考にしたのが宮西。直球とスライダーの2球種のみの流儀も、宮西への憧れからだった。3試合の登板に終わったプロ1年目を終え、何かを変えたいという思いが長谷川を突き動かした。

 しかし、相手は球団の歴史を築いてきた大先輩。まだ1年目を終えたばかりの身で、教えを請うことすらも恐れ多いもの。だが、プロで長くリリーフとして活躍する裏には何かがある。自主トレを見学させてもらうだけでも良かった。恐る恐る選手間のグループラインから登録させてもらい、熱い思いを込めたメッセージを送った。

 「北海道日本ハムファイターズの長谷川と申します…」。この一文から始まり、高校時代からずっと憧れ続けてきた思い、合同自主トレに参加させて頂きたいという誠意を込めた長文のメッセージを送った。返信は「分かった。また、ファンフェスの時に話そうか」。たった1、2行のシンプルなものだったが、心の底からうれしかった。

 自主トレは地味な練習が多かった。ポール間走など走り込みが中心で、長谷川は着いていくだけで精いっぱい。ベテランながら若手に負けず誰よりも徹底的に体を追い込む。そして、練習後にはしっかりと時間を割いて体のケアに努める姿に、長く現役生活を続けられる本当のプロフェッショナルを知ることができた。

 「昨年はケガもあったが、今年は昨年よりケガは少ないです。リカバリーの仕方もしっかり学んで、走り込みで体力もついたと思っています」と、長谷川は“師匠”に感謝する。チームは最下位に低迷するが、2軍には球団の将来を明るくともすダイヤの原石がたくさんいる。新庄監督にも、きっと届いているはずだ。(記者コラム・清藤 駿太)

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