【スポニチスカウト部(28)】東海大熊本星翔・百崎蒼生 初聖地で躍動「打てる遊撃手」

[ 2023年8月15日 06:00 ]

今夏の甲子園では強烈なインパクトを残した百崎
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 今秋のドラフト候補となる選手にスポットを当てる「スポニチスカウト部」。アマチュア担当記者の独自目線による能力分析とともに、選手たちの素顔を紹介する。第28回は東海大熊本星翔の百崎蒼生(あおい)内野手(3年)。今夏の甲子園は初戦敗退も「打てる遊撃手」として強烈なインパクトを残した。 ドラフト速報

 初出場だった今夏の甲子園で、集大成を発揮した。百崎は10日の浜松開誠館(静岡)との初戦に「1番・遊撃」で出場し、2安打1得点。攻守に全力プレーでグラウンドを駆け回り、ユニホームを真っ黒にした。敗戦後は「打撃も守備もできたと思えた。本当に楽しかった。最高のチームメートとやれたことを感謝したい」と胸を張った。

 今夏の甲子園には、今秋ドラフト候補に挙がる3人の遊撃手が登場した。仙台育英(宮城)の山田脩也(3年)は三拍子そろい、総合力が高く、昨夏の甲子園では優勝するなど経験も豊富な右打者。左打者の上田西(長野)の横山聖哉(3年)は、高校トップクラスの強肩を武器にダイナミックな守備で魅せた。その中で、百崎は「自分の強みは打撃」と迷いなく言った。甲子園初打席だった初回、いきなり逆方向の右中間を破る二塁打を放ち、対応力の高さを示した。

 開会式では山田、横山と対面し「自分は勝手にライバルだと思っていました。横山選手、山田選手は体が大きかった。自分も負けないようにやっていきたい」と刺激を受けた。ドラフト戦線で貴重な右打ちの「打てる遊撃手」。甲子園のネット裏で視察した日本ハム・大渕隆スカウト部長は「プレーが全体的にアグレッシブ。ボールを捉える力は天性のモノ。“やってやる”という気持ちを見せてくれました」と素材を評価した。

 プロ野球では近年、打撃指標が明確となり、昔ならば守備力が最優先されてきた二遊間、捕手においても「打てる選手」が重用されるようになった。百崎のように二遊間で打撃力のある選手は大学、社会人の選手でも一握り。ドラフト会議でも人気の高まる一人になる。(柳内 遼平)

 ≪東海大相模に野球留学 雰囲気なじめず転校も「守備鍛えてもらえた」≫百崎は中学まで熊本で育ち、高校は神奈川の名門・東海大相模に野球留学したが、部内の雰囲気になじめず2年5月に転校。規定により1年間、公式戦出場ができなかった逆境を乗り越え、聖地にたどり着いた。「甲子園に出られたことは一生の財産」。東海大相模での時間を「中学時代は守備が下手だったが鍛えてもらえた」と感謝した。東海大相模時代の1年秋に出場した関東大会では、攻守にダイナミックなプレーで「神奈川に百崎あり」と鮮烈な印象を与えていた。遠回りしても甲子園の夢をかなえた百崎が、次はプロ入りの夢を追う。

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