楽天・渡辺翔プロ初勝利!魔球パームボールで6回のピンチ火消し「思い切って投げました」

[ 2023年6月10日 05:30 ]

交流戦   楽天5―4中日 ( 2023年6月9日    楽天モバイル )

<楽・中>プロ初勝利を挙げ、石井監督(右)と記念撮影する渡辺翔(撮影・光山 貴大)
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 6回に同点とされ、なお無死二塁。楽天ベンチが火消し役として送り込んだのがドラフト3位右腕・渡辺翔だった。プロ3試合目。経験はなくても動じることはない。ある特殊球に、絶対の自信を持っているからだ。

 「パームボールには自信があるので、(同じ球を続けるのは)あまり怖くない。思い切って投げました」

 最初の打者の高橋周には初球からパームボールを4球続けて空振り三振。続く石川昂は直球とカットボールの組み立ててで三ゴロに斬り、村松との対戦では暴投で走者を三塁に進めたが、再び4球連続でパームボールを投じて二ゴロに抑えた。

 石井監督は「初勝利をもらっていいだけの投球」と絶賛した完璧な救援で攻撃にリズムが生まれ、7回に打線が1点を勝ち越し。3月18日のオープン戦で1回1/3を6失点と炎上して開幕2軍の要因となった相手にやり返して記念の白星をつかみ「ボコボコにやられたのでリベンジしたかった」と胸を張った。

 自慢の“宝刀”との出合いは投手兼遊撃手だった中学2年。フォークを練習したが「指で挟むと抜ける」。悩んでいるとチームメートが遊び半分でパームボールを教えてくれた。当時も数少ない使い手だった中日・浅尾の動画を見て研究。高校、大学で磨きをかけ、プロへの道を開いた。捕手の太田も「チェンジアップと違って、抜けてからさらに加速してくる独特な軌道。初見でとらえるのは難しい」と証言する。

 人気アイドルグループ「Snow Man」の渡辺翔太と同姓同名で登場曲も同グループの「D・D・」を使用している。2軍では本家の相性と同じ「しょっぴー」と呼ばれることもあった。「人気が全然違うので。負けじと頑張りたい」。唯一無二の武器を持つ「みちのくのしょっぴー」は、ここからスターの階段を駆け上がるイメージはひそかに膨らませている。(重光 晋太郎)

 ▽パームボール パームは英語で手のひらの意味。指を伸ばした状態で手のひらと親指、小指などでボールを支え、押し出すように投げる。チェンジアップと同様に遅い球速で揺れながら落ちたり、横方向に変化したりする。過去の使い手は帆足和幸(西武など)、浅尾拓也(中日)ら。大リーグでは歴代2位の通算601セーブ右腕トレバー・ホフマン(パドレスなど)らがいる。

 ◇渡辺 翔太(わたなべ・しょうた)2000年(平12)10月29日生まれ、福岡県出身の22歳。桜丘小3年でソフトボールを始め、富野中では「八幡東ボーイズ」に所属。北九州から九産大に進み、3年春に福岡六大学で5勝を挙げMVPを獲得するなど、リーグ戦19連勝を記録した。22年ドラフト3位で楽天入団。1メートル82、90キロ。右投げ右打ち。似ていると言われる有名人は俳優・竹内涼真。
 ▼九産大・大久保哲也監督(全日本大学野球選手権を視察中のため、都内のホテルで)厳しい場面で起用してもらったチャンスをモノにしましたね。開幕2軍だったので初勝利まで1年くらいかかると思っていました。コントロールが乱れないところが良いところ。(3日には)私の宿泊している都内のホテルまであいさつに来てくれた。“調子が上がってきました”と言っていたので“一生懸命、頑張れよ”と送り出しました。

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