【対談】田淵幸一氏が落合氏に語った江夏豊、村山実のすごさ 理不尽要求も明かす

[ 2023年4月14日 17:00 ]

対談を行った落合博満氏(左)と田淵幸一氏
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 現役時代に3冠王を3度獲得し、監督としては中日を4度のリーグ優勝に導いた落合博満氏(69)が14日、自身のYouTube「落合博満のオレ流チャンネル」を更新。YouTube開設1年がたち、新企画として対談企画「博満の部屋」をスタートした。その記念すべき第1回目は強打の捕手として鳴らした田淵幸一氏(76)を招いて対談が行われた。

 7歳違いという2人の対談は、落合氏が質問し、田淵氏が答えるという流れで進行した。「俺、今さ、江夏(豊)とな、会話する野球選手ナンバー1だよ。江夏と同じ病院なんだよ、(かかりつけの)先生が。もう体の話ばっかり。昔の野球話何もない」と冗談めかして話すと、江夏氏の話題となった。

 「江夏さんってやっぱりすごかった?」と落合氏が聞くと、捕手だった田淵氏は「よく聞かれるんだよ。当時はほら、スピードガンないからね。あの当時、何キロぐらい出たかな。160(キロ)は出てたやろ」と話すと、落合氏も「おそらく出てたと思うけどね」と語った。
 
 田淵氏は「王(貞治)さん長嶋(茂雄)さんの時は、もうめちゃくちゃ真剣だけど、下位(打線)になると…。(節目の)記録の時は絶対。他の選手に打たせて、王さん、長嶋さんの時だけ、ビャッと(力を入れる」と明かした。シーズン奪三振記録がかかった1968年9月17日の巨人戦(甲子園)でタイ記録となる三振を王貞治氏から奪い、さらにわざと三振を取らず、打者一巡させて、新記録を王氏から奪ったことは今でも語り草となっている。

 田淵氏は「1番すごいと思ったのは、今は球種が9種くらいあるじゃない?あいつは(勝負の球種は)真っ直ぐしかなかったから。手が短いし、握れないし、フォークはないし。真っ直ぐだけでこのホームベースの出し入れしていた」と球威だけでなく精密機械とも言える制球力を持っていたという。「バンとやったら(投げたら)、“今、2ミリ外れたな”とかさ、そういうピッチャー。俺が左ピッチャーで、ナンバーワンだと思うのは江夏だよ。敵じゃなくてよかったよ」と話した。

 さらに、田淵氏が「もう一つ言えば村山さんだな」と入団時のエース右腕だった村山実さんについて話が及んだ。落合氏が「(村山さん)のフォーク?」と聞くと「セカンドにランナー行くじゃん。真っ直ぐ(のサイン)でフォーク投げてくるんだよ。“村山さんサイン間違えているんじゃないんですか?”って言ったら、“何言ってんだお前、後ろ(二塁ベース上)でサイン送られたらあかんやろ”と。“真っ直ぐでもフォーク投げるからな、ちゃんと構えとけ”って。メチャクチャや」と語った。

 落合氏も「村田(兆治)さんもそうだった。村田さん、ノーサインで投げてたから」と話した。ある試合で、スライダーとかカーブとか投げたという。その際に「なんでお前、そのサイン出した」と言ってきたという。ただ捕手はサインなど出していない。理不尽と思える言葉に、田淵氏も「あいつらしいよな、あいつの性格面白いもん」と笑いながら「逆に言えばね、村山さんのフォークはどうやったら、こう投げるのかなとか、自分のチームのピッチャーの癖をね、よく見ていた」と話していた。

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