阪神・佐藤輝、岡田イズム吸収で打撃フォーム改造着手 スタンス広く、グリップ下げ、指揮官もうなずく

[ 2022年11月14日 05:15 ]

佐藤輝の打撃フォーム(撮影・大森 寛明)
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 阪神・佐藤輝明内野手(23)が高知・安芸で行われている秋季キャンプ第3クール4日目の13日、打撃フォームの改造に着手した。前日12日に岡田彰布監督(64)から打撃面で痛烈なダメ出しを受けており、一夜明けたこの日の練習から従来よりもスタンスを広くし、グリップの位置を下げるなど、指揮官が求める形へと変身を遂げた。厳しい言葉も自らの糧とし、新境地を模索する。 

 この日の安芸キャンプには、新たな佐藤輝の姿があった。雨天のため、ドーム内で行われたフリー打撃。従来よりもややグリップ位置を下げ、スタンスを広く取った和製大砲が快音を響かせていた。その姿を見守った岡田監督は、うなずいた。

 「なんかえらい広くなってきたな、スタンスな。これ(グリップ)もちょっと下げて」

 百戦錬磨の名将は当然、ひと目で変身に気付いていた。そして、そのバットが生み出す打球の変化に目を凝らし、かつ細めた。「そら(打球も)違う。室内やからちょっとアレやけど、また外で打ち出したら変わってくると思う」。上昇カーブを描くための「原点」に立った背番号8へ、期待の言葉を紡いだ。そして新境地へ一歩を踏み出した佐藤輝も、指揮官に呼応するかのように意欲を示した。

 「いろいろ試しているので。今のままだったら同じ成績のまま終わる。向上心を持ってやっていきたい」

 決して言われたからやる…というイエスマンではない。自らの頭で考え、心に響くものが、あったのだろう。

 侍ジャパンの強化試合から帰還し、キャンプに合流した初日の前日12日、練習を見守った岡田監督から「シーズン中より今の方が悪い。(三塁で起用する構想も)分からん」などと厳しい言葉を浴びせかけられた。それ以前にも、指揮官がまだ野球評論家だった頃からグリップ位置の高さを指摘され、直近11日にはスタンスの狭さも改善点として挙げられていた。そこに加えて、前日の「ダメ出し」。それらも十分すぎる動機となった。

 改善を図るのは、打撃フォームだけではない。ティー打撃でもポイントを前にし、スイング軌道を入念に確認するなど試行錯誤。前日の指揮官に酷評を受けた打撃練習では逆方向への打球が多かったが、この日はトラックマンのデータなども参考に、引っ張り込む強い打球を連発した。チームが自らに求めるものを再確認し、応えるべく決意を新たにした。

 「スタメン固定してもらえると言ってもらっても、そこに甘えるつもりもなかった。結果を残せば出してくれる話。シーズンで打てるように、しっかり振り込んで、いいスイングを身に付けたい」

 自他ともに認める猛虎の主砲となるべく、佐藤輝が新たな道へと歩み出した。(長谷川 凡記)

 ▽岡田監督の佐藤輝打撃フォームへのダメ出し 9月28日、解説者でヤクルト戦(神宮)のラジオ中継に出演した際、高いグリップの位置を指摘して「あの位置では絶対打てない。ホームラン20本で終わるバッターじゃない。どう考えても、もっと打てるでしょ」と、素質を認めた上での酷評。監督就任後の今月11日には日本代表の強化試合終了まで封印していたフォーム改造に触れ「やらなあかんわな。スタンス狭いやろ、狭いから差し込まれるやろ」。体力強化も必要とし「基本的に下半身は弱いと思う」と振り込みに加え、走り込みを課すことも予告した。

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2022年11月14日のニュース