広島・矢崎 今季台頭の裏に“座禅の教え”2年前から実践し効果「打たれたら学び、抑えたらハッピー」

[ 2022年10月31日 05:00 ]

広島・矢崎
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 広島・矢崎拓也投手(27)が秋季練習後に取材に応じ、今季セットアッパーとして台頭した裏側に座禅の教えがあったと明かした。禅をベースにコーチングや講演活動を行う島津清彦氏に2年前から師事。効果を初めて実感したという。

 「今を生きなさい、前のことは関係ない…とか、知識としてはあったけど。体験して初めて理解できることもあったので、その意味では良かった」

 6年目は登板47試合で2勝0敗1セーブ、防御率1・82のキャリアハイ。3月29日の阪神戦で5年ぶりの勝利を挙げ、6月26日のDeNA戦ではプロ初セーブをマーク。以降は勝利の方程式を担い、新型コロナウイルス陽性による特例抹消を除くと、1軍戦力であり続けた。

 「ありがたい経験をさせてもらった。自分の想像を(結果で)超えられたのは一つ誇っていいのかな…と」

 今季のテーマは「無抵抗」だった。150キロ超の剛球とフォークを持ちながら、伸び悩んだ5年間。結果を求めて制球を乱し、ストライクを欲しがって痛打されるパターンを繰り返した。ダメならダメで仕方がないと割り切り、現実を受け入れた時に光が見えた。

 「切り替えようと思えば思うほど、そこにフォーカスする自分がいた。流れにあらがわず、起きたことは全て自分の命運。打たれたら学びとして受け止め、抑えたらハッピー。そう思って過ごしていた」

 毎日組む座禅。試合前には約20分間、独りで組んだという。勝負の結果に一喜一憂することなく、今この一瞬に集中する。まさに「無」の境地。期待が高まるであろう来季も目標設定はしない。

 「自分で言うのはおこがましいけど、来季は抑えてくれる…と思われることも多分あると思う。ありがたいこと。新しい期待、経験を力に変えられるよう全力を尽くすだけ」

 悟りを開こうとする姿はまさに修行僧。矢崎の挑戦はまだ続く。  

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2022年10月31日のニュース