感染拡大で出場辞退の城郷「歴史に例ない」“延長戦” 対戦相手の鎌倉学園が申し出

[ 2021年8月1日 05:30 ]

練習試合   城郷0―9鎌倉学園 ( 2021年7月31日    サーティーフォー保土ヶ谷 )

6回、マウンドに集まり、グラブと帽子をマスク代わりにして話をする城郷ナイン(撮影・光山 貴大)
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 第103回全国高校野球選手権神奈川大会3回戦の出場を辞退した城郷が31日、対戦予定だった鎌倉学園と練習試合を行った。新型コロナウイルス感染拡大の影響で出場辞退した城郷に、鎌倉学園が対戦を申し入れて実現。同じく出場辞退した藤沢工科も鎌倉学園と練習試合を行った。

 心の底から野球を楽しんだ。涙の出場辞退から14日。こんな舞台が用意されるとは思わなかった。城郷の3年生16人は試合に負け、笑顔で高校野球を終えることができた。

 「試合ができて楽しかった。歴史に例のない試合。そういう意味では城郷の名前を残せたのかなと思う」。細谷岳澄主将(3年)は満足そうだった。

 13日の2回戦(初戦)に逆転サヨナラ勝ちし、迎えた17日の鎌倉学園との3回戦。新型コロナウイルス感染拡大によって対外の部活動が禁止となり、ギリギリまで出場の可能性を探ったが、試合開始直前に辞退が決まってナインは泣き崩れた。3日後。4回戦で横浜に敗れた鎌倉学園から対戦の申し出があった。県高野連も協力してサーティーフォー保土ケ谷球場を用意。最初は戸惑っていた3年生も23日から全体練習を再開し、細谷主将は「鎌学と一勝負しようと。やっぱりみんな野球が好きなんだと思った」とこの日に備えた。

 試合は7安打しながらも、0―9の7回コールド負け。「1点も取れなかった悔しさもあります」。細谷主将の悔しさも、試合ができたからこそだ。

 「本当にありがたかった。あの時(辞退前)の気持ちでやろうと挑んで、真剣勝負でよくやった」。腕時計の日付を3回戦が行われるはずだった17日に戻して試合に臨んだ小池健一監督も感無量だった。劇的な1勝と感動的な1敗を記した今夏。高校野球の指導者を目指す細谷主将は「この経験を伝えたい」と目を輝かせた。(秋村 誠人)

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