あっぱれ!阪神・西純 涙のプロ初登板初勝利 恩返しのウイニングボールはアドバイスをくれた母に贈る

[ 2021年5月20日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神3-1ヤクルト ( 2021年5月19日    甲子園 )

<神・ヤ(9)>プロ初登板、初勝利を飾った西純(右)と矢野監督(撮影・平嶋 理子) 
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 涙のプロ初勝利だ。阪神の西純矢投手(19)が19日のヤクルト戦でプロ初登板初先発し5回無安打投球でプロ初勝利をあげた。球団の高卒ドラフト1位投手が初登板で勝利するのは初めて。球団の10代投手がデビュー戦で先発勝利するのは12年岩本以来6人目だが、19歳8カ月での勝利はドラフト制以降では最年少で歴史的1勝となった。

 涙目になるほどにうれしかった。西純は5回まで無失点に抑え、直後の攻撃で代打を送られた。得点が入らなければ勝敗なしに終わるところで飛び出た近本の決勝打となる先制ソロ本塁打。プロ初勝利が舞い込んでくる驚きと同時に、あふれる思いもこみ上げた。

 「諦めずに投げて、近本さんや他の先輩が助けてくれた勝利かなと思う。(近本さんは)本当に格好よかった」

 いけるところまで全力でいくと決めていた。「心臓が飛び出るくらい緊張してました」と初回、先頭から連続四球。2回先頭にも四球を与えるなど制球に苦しみながら無失点で切り抜けた。4回からはカーブなど変化球の制球が安定したことで真っすぐも生き山田、村上、オスナの中軸を3者凡退。与四球4も5回87球を投げ無安打無失点に「逃げずに、向かっていくことができたと思う」と初登板を振り返った。

 念願の1軍だった。春季キャンプは1軍完走も開幕1軍には残れず。寮の自室で1軍戦をテレビ観戦するたびに「早く1軍に呼ばれないかな」と思いをはせてきた。時には、悔しさと嫌気でテレビを消し、ふさぎ込んだこともあった。

 1年目の昨季は制球難に悩まされ、安藤2軍投手コーチと二人三脚でフォーム固めに努めてきたが、土台構築に励む中で母・美江さんのアドバイスも取り入れてきた。「見るところが違うんです。相手投手の動きも観察している」。登板した試合を振り返る中で、母は「相手投手は塁に出た時もシャドーピッチングの動きとかしてたよ」と細かいところも含め、気づいたことは何でも伝えてくれた。自身では分からないことも多かった。以降は、実際に間ができればシャドー投球で基本的な動きを確認。この日も実践しフォームのバランス維持に役立てた。登板前にも「しっかり諦めずに投げて」と連絡をもらったといい、初勝利のウイニングボールは恩返しの思いも込め母に贈る。

 球団の高卒ドラフト1位投手では初のデビュー戦勝利。新たな歴史を刻み、確かな一歩を踏み出した。(長谷川 凡記)

 《19歳8カ月はドラフト制以降球団最年少記録》プロ2年目、19歳8カ月の西純(神)が初登板初先発で勝利。阪神投手が初登板初先発で勝利は18年新人の高橋遥以来17人目。10代投手の達成は12年2年目の岩本輝(19歳10カ月)以来6人目。ドラフト制以降では2人目で、岩本を抜く最年少記録。ドラフト制以前を含めた最年少は1リーグ時代の44年、2年目武智修の18歳7カ月。

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