内川の今後の活躍に期待 新天地でも確認したい3つのこと

[ 2020年11月10日 11:00 ]

舌を出して本塁打を放つ内川
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 担当1年目、初対面なのに、何でも教えてくれたこと。勉強になったし感謝している。11月2日にソフトバンク退団を発表した内川聖一内野手の宮崎県日向市内の公開自主トレ取材に帯同したのが、今年1月16日。宿舎内のレストランで、報道陣を集めての“聖一会”を、催してくれた。

 内川が飲むのは、炭酸水。親交の深い記者がMC役を務めるが客室がそこそこデカいため独特の“間(ま)”が空く。周囲は炭酸水の内川を笑わせ、盛り上げるが沈黙はさすがに悪い。内川のトークを聞きつつ会場は“すべらない話”の披露会みたいになっていた。

 名刺切りたての記者なので、あえて、基本中の基本から聞いた。 「どうやって広角に打ってるんですか?」 周囲は“今さら?”感を出すが間(ま)は無く、即答で応じた。

 「弓矢だと思い切り、弓を引いた状態で(球を)待つ。テニスだと、ラケットでフォア(ハンドストローク)を打つときみたいに、思い切り左肩、左肘を引いた状態で待つ感じですかね。どう球が変化しても体勢が崩れても、対応はできます」

 バットの芯は当然だが特に面(メン)で当てに行く。強い打球で安打を量産してきた。ただ紙面に載るインパクトの瞬間の写真は何か舌を出している印象が残っていた。気になっていたので聞いた。 「何で、舌を出して打っているんですか?」。単純だった。「無意識、癖ですね」。昨季達成した2000本安打のうち、覚えている範囲で何回が舌を出す“タン(舌=tongue)打”だったのか? 性格上、普段なら調子に乗って聞くが今後に取っておいた。

 ただ、例年より約3カ月遅れで今季は開幕したが内川は1度も1軍に上がることはなかった。2軍戦では42試合の出場で打率・327と当然、結果も残した。「やるだけのことはやったし、もう、これ以上、やることはない」と11月1日、ファンに退団を明かした。 現役最多2171安打。抜群の肩書きを引っさげて「来年、違うユニホームで“内川が必要だ”と言ってくれる球団が出てきてくれればと祈っています」とプレー続行へ、売り込みをかけて去った。

 他球団の調査も続々始動中と聞く。新天地での活躍に期待するが違うユニホームでも確認しておきたいことが3つある。一切の間(ま)を入れない返答と、球を待てる状態から出るバットでの“即答”。インパクトの瞬間の、舌の有無だ。(記者コラム・井上 満夫)

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2020年11月10日のニュース