広島・菊池涼 執念ドロー呼ぶ5安打 5点差猛追 9回曽根の好走塁も値千金

[ 2020年9月5日 05:30 ]

セ・リーグ   広島12-12DeNA ( 2020年9月4日    マツダ )

<広・D(15)>9回2死二、三塁、菊池涼は右前に同点となる2点適時打を放ちガッツポーズで一塁に走る (撮影・奥 調)
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 広島は4日のDeNA戦で、一時の5点劣勢から16安打12点の猛追で今季7度目の引き分けに持ち込んだ。菊池涼介内野手(30)が2点劣勢の9回2死二、三塁で同点の2点適時打を放つなど自己最多に並ぶ5安打の固め打ち。諦めない姿勢で打線をけん引した。 

 やられたら、やり返す――。赤ヘルは、泥臭く何度も立ち上がった。3回時点で5点劣勢も、4回に3本の適時打を集めて同点。さらに今季ワーストに並ぶ12失点を献上しても関係ない。7回に3点、8回に2点を挙げて諦めなかった姿勢は、土壇場で報われた。

 2点劣勢の9回2死二、三塁。菊池涼は、初球の三嶋の内角直球に詰まらされた。それでも、思い切りよく振り抜いた分だけ二塁・柴田の頭上を越えた。右前に落ちる同点の2点適時打。ナインは一塁ベンチを飛び出して喜び、菊池涼は小さく拳を握った。

 「あの場面は気持ちだけで打ちました。勝ちきれなかったが、明日につながる試合になったと思います」

 諦めない姿勢を示し続けていたのが菊池涼だった。一挙5点を挙げた4回には、この回3本目の適時打。7回先頭で山崎から二塁打を放ち、松山の適時打にヘッドスライディングで本塁に生還した。8回の2得点には単打で貢献し、自身3度目となる5安打。佐々岡監督からは「いい集中力を持って、いい打撃をしてくれた」と手放しで称えられた。

 両チーム計33安打の乱打戦でも、些細な「1プレー」が結果を左右した。2点劣勢の9回1死一塁から会沢が中前打で出塁し、一塁走者に代走・曽根が送られた。続くピレラの中飛で二塁走者・田中広が三進する間に、二塁・柴田、遊撃・倉本はいずれも中堅からの中継プレーに入ろうとして二塁ベースが空いた。この隙を見逃さずに一塁走者・曽根が二進したことで直後に菊池涼の同点打が生まれた。指揮官は「あの走塁は評価してあげたい」と、伏兵の好走塁を褒めることも忘れなかった。

 佐々岡監督は「最後まで粘り強くやってくれた。諦めない姿勢を見せてくれた」とし、朝山打撃コーチも「勝てなかったけど100点の内容」とうなずいた。白星にはつながらなくとも、借金7を抱えるチームに活気をもたらす16安打12得点だった。 (河合 洋介)

 《52年ぶりのセ・リーグ記録》広島はDeNAと延長10回12―12で引き分け。今季は9度の延長戦で0勝2敗7分けの未勝利。2桁得点の引き分けは79年6月10日の阪神戦(広島)10―10以来41年ぶり4度目。過去3度はすべて10得点。12得点は68年7月14日の中日―大洋(中日)に並ぶ52年ぶり2度目のセ・リーグ記録となった。なおプロ野球記録は53年3月21日西鉄―近鉄(平和台)、80年6月6日南海―西武(大阪)の13―13がある。

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