「夏男」阪神・糸井 最下位脱出の決勝打 昨年7月5日以来のお立ち台で糸井節も披露

[ 2020年7月15日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神6-3ヤクルト ( 2020年7月14日    甲子園 )

<神・ヤ(4)> ヒーローインタビューを受け、ガッツポーズの糸井(左)と木浪 (撮影・後藤 大輝)
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 阪神の糸井嘉男外野手(38)が14日のヤクルト戦で決勝打を放った。同点の5回無死一、三塁から左前適時打。最大8あった借金は3となり、開幕から19試合目で今季初の最下位脱出に成功した。夏場に強い“超人”の一打がもたらした連勝。これで甲子園は4勝1敗となり、勢いはさらに加速していく。

 猛虎屈指の「夏男」が本領を発揮した。同点とされた直後の5回無死一、三塁。糸井が石川の投じた真ん中カットボールをとらえた。決勝の左前適時打。開 幕から19試合目で、ついに最下位脱出に成功した。

 「サイコーです!(声援は)ホンマに心強いし、それに応えたいなと思って僕らはやってます!」

 昨年7月5日の広島戦以来となるお立ち台では、4252人観衆から大歓声を浴びた。これで今季の得点圏は11打数4安打の打率・364、6打点。4回先頭の左翼線二塁 打も、一挙3得点の呼び水となった。3番として光る勝負強さ。3試合連続安打となり、今季打率も・290まで戻してきた。

 移籍した17年から昨季までの3年間 の夏場(7、8月)の成績は296打数101安打の打率・341、11本塁打。今季はこの試合前時点で22打数4安打の打率・182だったが、本格的な夏を前にして、復調の気配 がただよってきた。

 偶然ではない。夏場の屋外練習で「汗かいとかな、逆に疲れる」と長袖のウエアを着用する日がある。年齢を重ねるたびに寝付きの悪さを痛感。特に寝苦しい夏場に快眠するために、自らの体に合わせた枕を2年前から愛用している。

 感性を重視するようなイメージもあるが、繊細な性格がエネルギーの源でもある。今月31日で39歳。開幕直後に夏を迎える今季を「すぐにバテるかも」と警戒していた が、今では「もう始まってるから。やるしかない」と言い切る。衰えを感じさせないパフォーマンスは、心技体における確かな対策に裏打ちされている。

 糸井節も健在だ。4回先頭の二塁打に質問が及ぶと「ランナーを還せる ように頑張りました!」と返した。続く勝ち越し打の質問には「それがさっき言ったやつです」と珍回答。球場内の爆笑 をかっさらった。

 最大8あった借金は3まで減ったが、満足の2文字には程遠い。「選手として、あそこ(お立ち台)に立ちたい思いは強い。まだ借金もある。もちろん1位を目指して、一日一日がんばりたいと思います」。超人は迷いなく、頂点だけを見据えていた。 (巻木 周平)

 《今季初の最下位脱出》阪神が連勝。5位の中日が敗れたため、阪神は5位浮上。同率を含め最下位からの脱出は今季初めて。開幕から続いたビジター14試合で4勝10敗、勝率・286に対して甲子園では4勝1敗、勝率・800を誇る。

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