命より大事なものなど…「オプトアウト」表明選手を悪者にしてはならない

[ 2020年6月26日 09:00 ]

エンゼルスのジョー・マドン監督
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 「オプトアウト」。大リーグでは長期契約を結んだ選手が残りの契約を放棄する際によく登場する言葉だが、コロナ禍で開幕が延期になってからは「プレー拒否権」の意味で使われることが多くなった。

 大リーグ機構(MLB)はコロナ禍が収束しない中での今季開催にあたり、健康面にリスクを抱える選手が「オプトアウト」を選択しても、給与を保証。年俸調停やFA取得に影響する出場登録日数も昨季と同じ日数を得ることができることになっている。

 ここで言うリスクには糖尿病や不整脈などの持病を抱える選手本人だけでなく、家族が何らかの健康リスクを抱えていたり、配偶者が妊娠中の選手なども含まれる。例えば、メジャー最高年俸のエンゼルスの主砲トラウトのジェシカ夫人は8月に、ヤンキースの先発右腕コールのエイミー夫人は近日中に出産予定。両選手ともSNSで「Tell us when and where!(いつ、どこで開催か教えて)」と投稿し、プレーには前向きとみられるが、選手それぞれに置かれた状況も異なる。先日にはフィリーズの主砲ハーパーもカイラ夫人の第2子妊娠を報告している。

 スター選手不在で開幕を迎えれば、米国での野球離れに拍車がかかる可能性もあるが、健康第一であることに変わりはない。今も新型コロナウイルスの感染拡大が収まらない米国で、選手にプレー選択が委ねられるとすれば、それは酷なことでもある。

 今月24日、エンゼルスのジョー・マドン監督は電話会見でチーム内にオプトアウトを行使する選手がいるかどうか問われ「そういう話は聞いていないが、望む選手がいたとしても理解できる」と話した。今後、オプトアウトを表明する選手がいても、決して悪者にしてはいけない。命より大事なものはないはずだ。(記者コラム・柳原 直之)

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