最多出場の福井工大、快勝で4年連続の初戦突破 1年生右腕が原動力

[ 2019年6月11日 13:44 ]

第68回全日本大学野球選手権大会1回戦   福井工大5―3上武大 ( 2019年6月11日    東京ドーム )

<全日本大学野球選手権 上武大・福井工大>力投する福井工大先発・立石(撮影・郡司 修)
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 出場校中最多42回目の出場を果たした福井工大(北陸大学野球連盟)が、投打のかみ合う快勝で4年連続の初戦突破を果たした。

 原動力は1年生右腕の立石健投手(大体大浪商)だった。初回こそ3四球を出すなど乱れたが、その後は最速146キロ直球を軸に、カーブ、スライダー、チェンジアップと多彩な変化球を交えて、上武大(関甲新学生野球連盟)打線に的を絞らせなかった。「緊張はしましたけど、東京ドームですし、投げていて楽しかった」とリズム良く回を重ね、7回3安打2失点。高校時代を含めても初めての全国舞台で自らの力を出し切り、確実に試合をつくった。

 立石の成長スピードは出会いによって加速度的に増した。今年3月から、母体の金井学園の統括投手コーチに90年ドラフト1位で大洋(現DeNA)に入団し、オリックス、西武などプロ12年間で269試合に登板した水尾嘉孝氏(51)が就任。刺激、発見は多かった。「毎日、ブルペンを見てくれる。僕は頭が突っ込みがちなので、顔を残して投げろと。それを意識し始めてから、制球が良くなった気がします」。制球だけでなく、直球の最速も147キロと高校時代より5キロアップした。

 水尾コーチにとっても、母校の後輩を指導することは新たな挑戦だ。03年に西武から戦力外通告を受け、翌年にメジャー挑戦のた渡米。06年に現役引退後は球界から離れ、イタリアンの料理人へと転身した。これまでは東京都内の料理店を経営しながら、月1度の指導を行ってきたが、店の移転を決定したことを機にコーチ就任の打診を受けた。本格的に指導する1期生が立石らの代になる。「ユーチューブとか、今の子は情報が多い。こういうことは生きてくるとか、それが実際にどうなのかを説明するのが僕の役割」。あふれる情報の選別、情報を分かりやすく教えることに腐心するからこそ、言葉は簡潔にして伝える。「無駄に力が入らず、腕が遅れて出てくる。初めての打者はタイミングが取りづらい」という理由で下野博樹監督(59)に立石の初戦の先発を推薦。期待に応えた右腕に「腰をしっかり回して回転で投げられるようになってきた。性格的にも物怖じしないし、ひょうひょうと投げてくれた」と目を細めた。

 2回戦では東京六大学の覇者・明大と対戦する。「全てを力にして、明治に自分たちの力が通用するかを試したい」と指揮官。チームスローガンは「福井から頂点へ」。言葉を実現するため、総力を挙げて強敵に挑む。

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2019年6月11日のニュース