イチ、296日ぶり実戦復帰で2点適時打 メジャー生き残りへ「初めての緊張感」

[ 2019年2月24日 02:30 ]

マリナーズ・春季キャンプ ( 2019年2月22日 )

3回2死満塁、打席に入るイチロー(撮影・会津 智海)
Photo By スポニチ

 マリナーズとマイナー契約で招待選手のイチロー外野手(45)は22日(日本時間23日)、アスレチックスとのオープン戦に「7番・左翼」で出場し、3回に右前へ2点適時打を放った。昨年5月2日以来、296日ぶりの実戦復帰で2打数1安打2打点。マーリンズ時代の17年9月19日以来、521日ぶりの打点もマークした。メジャー生き残りを懸けて臨む米19年目の初実戦で、変わらぬ存在感を発揮した。

 打球が右前にポトリと落ちると、この日一番の声援が起きた。2―0の3回2死満塁。イチローは、昨季54試合に登板した左の中継ぎエース、バクターの5球目、90マイル(約145キロ)の直球を振り抜き2点適時打とした。

 飛距離がアップする新フォームのタイミングは少しずれ、バットも先に当たって折れていた。そんな中での大声援に「あのヒットではちょっと恥ずかしい。奇麗な(安打の)方がいいんだけど」と苦笑い。それでも代走を送られて退く際には、声援はさらに増した。「気持ちはうれしいわね」。体感気温6度、小雨の中で集まったファン5298人への思いだった。

 実戦は昨年5月2日のアスレチックス戦以来、296日ぶりだ。「凄く緊張しました。最初に(メジャーに)来た時とも違う。どれとも違う。初めての緊張感」。翌3日に会長付特別補佐に就任。前代未聞となる球団フロントから大リーガー復帰という道のりの一端を、そう表現した。

 2回は捕邪飛に倒れ、迎えた2打席目だった。安打は昨年4月22日レンジャーズ戦以来306日ぶり。打点はオープン戦も含め、昨年3月のマ軍復帰後では初めて記録した。

 米19年目で初めてのマイナー契約。かねてジェリー・ディポトGMは3月20、21日の日本開幕戦ではメジャー契約に切り替える方針を示しているが、確約ではない。その現実はイチローも理解している。「オープン戦で結果に対する考えは変わってくるか」との問いにはきっぱり答えた。

 「そうだと思いますよ。(今までと)変わった立場がありますからね。当然だと思います、それも」。2日前には右足に死球を受けたが、初動負荷理論のマシンを駆使して早期回復。45歳にして自身最速のオープン戦出場を果たし、いきなり結果で応えた。スコット・サービス監督からは「彼はとにかく安打になる場所を見つけ出す。コツを知っている」と改めて称賛された。

 未知なる挑戦のゴールはまだまだ先。「この緊張感は今日だけだと思う。次はどうゲーム感覚を取り戻すか、というステップですね」。サバイバルに向けた戦いが、ここから本格化する。

 ○…昨年イチローはオープン戦5試合、公式戦15試合に出場し、いずれも打点ゼロ。17年マーリンズ時代の9月19日メッツ戦で9回に同点の中前適時打を放って以来、521日ぶりの打点となった。この試合では「1番・左翼」を務め、「1番・右翼」で出場して1安打したメ軍の青木(現ヤクルト)とリードオフマンで競演した。

続きを表示

2019年2月24日のニュース