【矢野監督&赤星氏対談5】才木、浜地、望月らが藤浪を煽るくらいなら凄いことに…楽しみ

[ 2019年1月2日 13:54 ]

赤星氏(右)に「楽しんでやろうという気持ち」と語った矢野監督
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 赤星 「一番の強みは投手陣。現段階ではどのようにお考えでしょう?」

 矢野 「本当に、まだ全然できあがっていない。まあ、球児、能見は中で、球児は抑えもやるというメッセージを自分で出すというのは、自信もあるし、自分にプレッシャーをかけているとも思う。でも、チーム全体を考えれば、中継ぎ、抑えは年齢層が上がっている。誰かそこに若手が食い込むような。外国人も獲得したけどね。もしかしたら配置転換もね。去年の望月もそうだけど、若いときに中継ぎを経験するのは良いこと。先発は自分が勝って、自分が負けたとなりやすいけど、中継ぎは人の勝ちを背負って登板するからめちゃくちゃしんどい。一つのアウト、1イニングが。それを勉強して先発に戻ったら、すごく成長すると思っている。望月、才木は現状、先発と思っているけど、もしかしたら才木を後ろとかに、なくはないかな、と」

 赤星 「たぶん、キャンプが始まるまではピッチャーの構想の方が好き勝手にできるし、キャッチャー出身の矢野さんからしたら、すごく楽しいのではと」

 矢野 「うん、楽しいよ。ほんと、今、オレ楽しい。シーズンに入ったら楽しくなくなるかもしれないけれど(笑い)。いまは阪神ファンの感じというか“こいつ、何勝するんやろう?”とか“アイツが化けたら、どうなるんやろう?”と考えたら、すごく楽しいし。能見や球児も黙ってないやろう、とか。良い方を考えてるから、すごく楽しくて。2軍であまり芽が出なかったピッチャーもね。たとえば右の守屋、和雄(伊藤和)とか、左の島本、飯田はオレは使えると思っている。短いイニングでは。守屋が去年1軍に上げてもらった時、札幌ドームの試合で中田に4、5球スライダーを続けてレフト線に打たれたことがあった。そこで言ったのは“あの打たれ方はどう?”と。オレは“お前は隆に投げさせられたように感じたわ”と。任されることはキャッチャーとしては嬉しいんだけど、オレは“あの打たれた方は悔しいよ”と伝えて。“お前の投げ方で、右バッターが何を嫌がるかと言えばやっぱり、胸元に投げられること”だと。そこに1球も投げることなく、スライダーを打たれるのは、オレなら悔しすぎるやん。右バッターのインコースにはいつでも投げられる準備ができた中でピッチングをしていくことが、1軍でも役立つ。なぜなら、1軍に上がっても何も変える必要がなくなるから。“キャッチャーに投げさせられるのではなく、自分で投げろ”と。そこからはすごく首も振るようになって、自分で投げる意思を示せるようになった」

 赤星 「そんな中でまだ名前が出てきていない藤浪についてお聞きします」

 矢野 「晋太郎(藤浪)も全く一緒で、2軍に落ちて来た時に自分自身のことを受け止められている、と思ったのよ。今の自分のピッチングの状況を分かっていて、分かっているから次のステップにいける段階にあったと思う。だから2軍に来たときも、晋太郎を低く見ているのでも何でもなくて“晋太郎、フォアボールも出すからな。大げさに言えば3つ出すかもしれないけど、ゼロで帰ってきたら良いやん。フィールディングも一塁にゴロ投げてもエエやん。ノーバウンドでアウトにしないといけないことはないねんから”と。けん制も“悪送球しても良いから、お前のために投げろ”と。将来は阪神のエース、大きく羽ばたいて日本のエースというところへ行ってほしいけど、オレはまだまだ発展途上だと思う。ある意味、ちょっと大きな気持ちで晋太郎を見てあげる方が、晋太郎も投げやすいと思うから」

 赤星 「去年のシーズン終盤は明らかに変わっていた。そういうのを見ていると、どうしても先発の軸として行ってもらわないといけないピッチャーだとは思うんですよね。

 矢野 もちろんね。でも、晋太郎ありきにはしたくないのね。才木や浜地や望月という右のピッチャーが出てきたときに“おいおい、右の凄いのいっぱい出てきたぞ”となれば、また次の晋太郎を見られることも想像していて。彼らが晋太郎を煽(あお)るぐらいになってくれたら、凄いことになるかな、と」

 赤星 「対談させていただき、矢野さんの楽しそうな雰囲気が続けばいいなと思っています」

 矢野 「俺もすごい怖さもあるし、昨年の金本監督を見ていたら、どうなるんやろう?というのもある。でも、最初に言ったように俺自身もどっかで楽しんでやろうという気持ちがある。選手たちにえらそうなことを言って、それなのに俺が楽しんでないというのも何か違うのかなって。俺がやりたい野球はこうなんだというのと、選手にとってプラスというのが俺の中ではイコールになっている。昨年は2軍でそれができたから、どうにかなるのかなと思っています」

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2019年1月2日のニュース