ヤクルト・青木宣親 ハイアベレージで無人の野を行く

[ 2018年11月26日 08:30 ]

ヤクルト・青木
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 【宮入徹の記録の風景】 充実の復帰シーズンとなった。ヤクルトの青木宣親外野手(36)は今季セ・リーグ4位、チームでは1位の打率・327を記録。67打点は09年の66打点を抜く自己最多と、前年最下位だったヤクルトの2位浮上に大きく貢献した。

 5月3日の中日戦(神宮)では、通算打率ランキングの算出基準となる4000打数に到達。打率・327でリー(ロッテ)の・320を7厘上回り歴代トップに立った。シーズン終了時では・329に上げ、リーとの差を9厘まで広げた。18年現在、通算4000打数以上の打者は280人いる。昨年まで順位で直下の打者との最大打率差は279位の伊藤勲(南海=・231)と280位小池兼司(南海=・226)の5厘差。青木の9厘差はこれを上回る大差だ。

 もっとも、通算打率1位の維持は容易ではない。実際、一時的にリーを抜いて歴代1位に躍り出た打者は過去に89〜92年の落合博満(中日)がいたが、引退時は・311まで下降。シーズン途中に2度1位になった小笠原道大(06年日本ハム、07年巨人)も中日で引退した15年には・310まで落としている。

 青木も今後は年齢との戦いが待つ。ここまでヤクルトで9シーズンプレーしているが通算打数は4395。1シーズン平均で約500打数になる。仮に今後5シーズン現役を続けるとして2500打数でリーの上に立つには761安打(打率・304)が必要。高打率をキープするためのハードルは決して低くはない。

 それでも青木の打撃内容を見ると衰えどころか、伸びしろすら感じるものがある。まず酷暑となった夏場に非常に強かったこと。今季の月別打率は3月・250→4月・250→5月・280→6月・388→7月・370→8月・361→9月・325→10月・333。既に36歳を迎え、疲れがたまるであろう6〜8月の平均打率が・373に達した。9シーズン通算でも6〜8月の打率は・338と夏バテ知らずに打ちまくっている。青木は月間40安打以上を2リーグ制後最多の4度マーク。うち、7月1度、8月2度と3度が夏場なのだから凄い。

 追い込まれてからのしぶとさも長所のひとつ。今季2ストライクからの打率は・289でリーグ1位。自身2ストライクからの打率1位は07年・317、10年・307に次いで3度目だ。セリーグで60年さかのぼっても2ストライクからの打率1位が3度以上は長嶋茂雄(巨人)、若松勉(ヤクルト)4度、江藤慎一(中日)、篠塚利夫(巨人)、和田豊(阪神)3度と5人だけ。青木が歴代屈指の巧打者であることが分かる。

 さらに左腕投手を全く苦にしないことも特筆もの。今季の左右投手別の打率は右投手は・299だが、左投手は・395と圧倒的に攻略した。対左腕の通算打率は・341。対右腕は・323となっており、左投手との対戦はこれからも大歓迎だろう。日本での通算安打は1446安打。節目の1500安打まであと54本に迫っている。青木の通算出場試合数は1112試合。1500安打の最速記録は11年松井稼頭央(当時楽天)の1233試合だから、来季前半にも新記録での通過となりそうだ。(敬称略)

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2018年11月26日のニュース