「まずは普段の生活から」 共通する名将の指導理念 甲子園塾始まる

[ 2018年11月16日 19:48 ]

高校野球・甲子園塾開講式であいさつする山下智茂塾長
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 日本高校野球連盟(高野連)が若手指導者育成のために開催する講習会「高校野球・甲子園塾」が16日午後、大阪・江戸堀の中沢佐伯記念野球会館で始まった。教員で指導歴が原則10年未満の監督、部長ら27人が全国から集まった。18日まで2泊3日で開かれる。

 開講式で山下智茂塾長(73=元日本高野連技術・振興委員会副委員長、星稜名誉監督)は指導者育成のため2008年に始めた当時、塾長だった尾藤公氏(元箕島監督、2011年他界)だったと紹介し「塾長は今も尾藤先生だ。尾藤魂でやっている。すでに卒業生は500人を超えた。われわれも日本の高校野球のためにがんばろうではありませんか」とあいさつした。

 初日は座学。「都道府県連盟の役割」として、佐賀県高野連・吉冨壽泰理事長(52)が一昨年4月の熊本地震や今年7月の豪雨で大会を延期する決断をした経緯を説明。不祥事への対応でも実例を示して話し、危機管理の重要性を訴えた。

 スポーツ庁が適切な休養日などを指示した「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」について「高校生には原則順守、としている。実際には柔軟な対応が必要だと思う」と話した。

 吉冨理事長は2007年夏、全国優勝した佐賀北で部長を務めていた。百崎敏克監督(62)と二人三脚で勝ち上がった当時の思い出話も盛り込んだ。

 「指導者としての基本的な考え方」では特別講師として、木更津総合監督の五島卓道さん(64)、元関大北陽監督の新納弘治さん(57)が講義を行った。

 五島さんは社会人・川崎製鉄神戸の監督を退いた後、暁星国際(千葉)監督に招かれた。「千葉県で一番弱いチーム」を生活面の指導から建て直し、優勝争いするまでになった逸話を披露した。当時の教え子に小笠原道大(現中日2軍監督)がいた。

 木更津総合では9度、甲子園出場に導いた。一昨年春夏と甲子園出場した当時のエース、早川隆久(早大2年)は「目標設定が上手で、実現可能な目標を立て、計画、実行していた」と話した。

 「成功への方程式」として「情熱×能力×考え方」とし、「積極的、前向きな考え方で夢はかなう」と熱く語り、部で示している「信念の力」を朗読した。

 新納さんは「寮も含めた家庭生活が土台にあり、その上に学校生活、そして部活動がある」という基本的な考えを保護者にも説明しているそうだ。若いころはすぐに怒鳴ったり、注意していたが「やらされる練習では選手は育たない。自分で考えることが大切かを学んだ」と、今では「選手の意思を尊重するように、言葉遣いも変えた」と反省も込めて話した。

 17、18日には実技を交えての講義がある。 (内田 雅也) 

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