阪神・矢野監督誕生 長期政権へ「やらない後悔よりも、やってみるべきだなと」

[ 2018年10月16日 05:30 ]

1軍監督就任要請を受諾し、心境を語る矢野2軍監督      (撮影・成瀬 徹)    
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 「矢野阪神」誕生!阪神・矢野燿大2軍監督(49)が15日、兵庫県西宮市の球団事務所で監督就任要請を受諾し、猛虎の第34代監督に決まった。

 「逃げてやらない後悔よりも、やってみるべきと思った」と決断に至った経緯を明かした。2年以上の複数年契約とみられ、近日中に就任会見が開かれる。揚塩健治球団社長(57)は「金本路線を引き継げるのは矢野監督」と大きな期待を寄せた。

 13日に監督就任要請を受けてから、わずか2日後。午後1時半、球団事務所で矢野2軍監督が口を開いた。その瞬間、猛虎に第34代監督が誕生した。

 「いろいろと考える時間もいただきましたけど、タイガースの監督をやらせてもらうことに決めました。本当に悩んだんですけど、逃げてやらない後悔よりも、やってみるべきだなと思いました」

 決断までに与えられた時間は決して多くなかった。半面、不安材料は山積み。12球団屈指の人気球団で、しかも17年ぶりの最下位に沈んだ戦力のチームを率いるのは並大抵の覚悟では務まらない。育成と勝利の両立を目指した金本前監督の苦悩も間近で見ており、毎日が毀誉褒貶(きよほうへん)と隣り合わせの日々に身を投じる怖さも知っている。さらに新体制移行への時間も限られ、オフの補強もほぼ白紙状態…。だから、悩んだ。

 「もちろん家族もそうですし、今年の金本監督の大変な姿も見ていたので、このタイミングで、というのはすごく悩む材料になりました。タイガースの監督の重責という部分でも悩みました」

 それでも最後は「やらない後悔」と「やる後悔」をてんびんにかけ、後者を選んだ。金本前監督の3年間を受け継げるのは自分しかいないことも、自覚しているからに違いない。

 昨季までは1軍で作戦兼バッテリーコーチを務め、今季からは2軍監督に就任した。115試合で163盗塁の「超積極野球」を展開し、68勝40敗7分け、勝率・630でウエスタン・リーグを制覇。ファーム日本選手権も制して、日本一に立った。常々「失敗を怖がらないでいい。チャレンジしないことが一番もったいない」と若虎の背中を押し、勝利を積み重ねた。その経験と手腕を武器に、来季からは自らも1軍監督にチャレンジする。

 「矢野阪神」誕生に成功した揚塩球団社長は「金本路線を引き継げるのは、矢野監督と思います」と期待を寄せ、「もちろん、その通り」と長期政権を託すことを明言した。契約は2年以上の複数年のもよう。矢野監督は今後、組閣や10日後に迫ったドラフト戦略、オフの補強策を、急ピッチで推し進める。(惟任 貴信)

 ◆矢野 燿大(やの・あきひろ)1968年(昭43)12月6日生まれ、大阪市出身の49歳。桜宮から東北福祉大を経て90年ドラフト2位で中日入り。97年オフにトレードで阪神へ移籍。正捕手としてリーグ優勝に貢献した03、05年はベストナインとゴールデングラブ賞に輝き、10年限りで現役引退。プロ20年間で通算1669試合、打率・274、112本塁打、570打点。16年から阪神1軍作戦兼バッテリーコーチを務め、18年は阪神2軍監督。右投げ右打ち。

 《阪神、監督交代の経過》

 ★10月10日 甲子園最終戦でDeNAに勝利。金本監督は「私の力足らずのため」とファンに謝罪。試合後、揚塩球団社長から迫られる形で辞意を申し入れ。

 ★11日 金本監督の今季限りの退任と、坂井オーナーの辞任発表。後任候補に浮上の矢野2軍監督は「(退任は)どうこう言えない。オレにも責任がある」。

 ★13日 揚塩球団社長が宮崎入り。フェニックス・リーグ参加中の矢野2軍監督に監督就任要請。金本監督はシーズン最終戦で中日に勝利。

 ★14日 矢野2軍監督、朝に帰阪して家族会議。午後から球団事務所で2度目の交渉。15日の回答を約束。

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2018年10月16日のニュース