大谷、164キロ打たれたけど…マメと右肘痛乗り越え5回2失点

[ 2016年9月14日 05:36 ]

<日・オ>3回1死二、三塁、糸井に右前へ先制2点打を浴びる大谷

パ・リーグ 日本ハム4―2オリックス

(9月13日 札幌D)
 日本ハムの大谷翔平投手(22)が13日のオリックス戦で、自身が持つプロ野球最速を更新する164キロを出した。3回1死二、三塁で糸井への初球にマーク。適時打を浴びる反省の1球となったが、5回4安打2失点9奪三振と、先発ローテーション復帰2戦目で前回からの上積みを見せた。チームは勝ち、優勝を争う2位・ソフトバンクと1ゲーム差に。最速の試運転を終えたエースが次回、21日の直接対決のマウンドに立つ。

 内角をえぐった…のではなかった。詰まった糸井の打球は、前進守備の二塁手・田中賢の上を越えて右前へ。先制の2点打になった。大谷は明かす。「逆球。イメージ通りではなかった」。確かに、捕手・大野はミットを外に構えていた。

 狙いとは違うその1球が、ヤンキースやマリナーズ、パドレスなどメジャー7球団も訪れた観客席の驚嘆を誘う。球速表示は「164キロ」。今季に自身がマークした163キロのプロ野球記録を、1キロ塗り替えた。打たれてもなお、大谷は怪物だった。

 記録更新に気づいたのは降板後。「結果として打たれてしまったので良くなかった」と淡々と振り返り、「変化球は良かったけど、直球は良くなかった」とまで言った。復帰2戦目の先発マウンドで87球を投げ5回4安打2失点。160キロ以上は22球を数えた。2回1失点だった前回7日のロッテ戦同様、この日も球数制限付きだったが、力強さはさらに増し、栗山監督は「(164キロは)打たれたら意味がないがバランスは良くなっている」と及第点を与えた。

 人知れず「故障」を乗り越えた。前半戦最後の登板で右手中指のマメをつぶし降板。この時、実は大谷は右肘に痛みも感じていたという。開幕直後の4月にも同じ右手中指のマメを悪化させて降板したことがあった。5月以降は投げるたびに変形するマメを爪ヤスリで削るなどケアを怠らなかったが、そのマメを気にしながら投げ続けたため、右肘に負担がかかってしまった。

 札幌市内の病院で検査も受け、診断は幸い軽度なものだったが、投手としての復帰は遅れた。8月半ばから本格的にブルペン投球を再開し、2、3日に1度のハイペースでブルペン入り。調整は慎重に慎重を重ねた。復帰が遅れた要因は打線の核としてスタメンから外せなかったということもある。だが、全ては逆転優勝へ向けて「投手・大谷」を100%の状態でマウンドへ送り込むため。その期待にフルスロットルの投球で応え、逆転勝ちの一翼を担った。

 次回は21日ソフトバンク戦。球数は100~110球がメドとなる予定だ。大谷は「勝つのが一番。その中で全力で一生懸命取り組みたい」と言った。二刀流の怪物が目指すのは優勝のみ。万全の準備が整ったと言っていい。(柳原 直之)

 ≪最短17日M9≫日本ハムの優勝マジック初点灯は最短で17日。14、15日のオリックス戦と17日ロッテ戦に3連勝し、ソフトバンクが14日楽天戦と17日オリックス戦に連敗か1敗1分け。日本ハムが2勝1分けか1勝2分けでもソフトバンクが連敗なら、いずれもM9が点灯。なお、ソフトバンクのマジック再点灯も最短で17日。

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