常総学院 伝統息づく“バント”で逆転 春夏通算40勝

[ 2016年8月15日 05:30 ]

<常総学院・中京>5回表1死一、三塁、勝ち越しのスクイズを決め笑顔の有村(左)

第98回全国高校野球選手権大会2回戦 常総学院8―3中京

(8月14日 甲子園)
 以心伝心だった。常総学院は2―2の5回、陶山のセーフティーバントが内野安打となり、1死一、三塁と好機を広げた。有村は打席に向かう前、佐々木力監督に聞いた。

 「セーフティースクイズですか?」。

 「そうだね」。指揮官もうなずく。迷いなく初球のフォークを一塁と投手の間に転がすと、三塁走者・鈴木海が悠々と本塁に還ってきた。決勝スクイズ。2番打者は「バントは染みついてますから。常総らしい野球ができた」と胸を張った。

 名将・木内幸男前監督から続く伝統が息づいている。同校に入学後、一番最初に教わるのがバント。1時間の朝練がバントだけで終わることもある。一塁線の1・5メートル内側に線を引き、その間に決める練習を欠かさない。練習試合でも失敗すれば即交代。ナインにとっては打てないことより、バント失敗の方が怖い。03年夏の甲子園優勝時の主将だった松林康徳部長は「僕らの時もバントが決まらなければ即交代。決まると凄くホッとしたのを思い出す」という。

 有村も「バントが決まるとホッとする」と同じ言葉を発した。初戦で2ランを放った長打力も持ち、この日は3回に同点の右犠飛、8回には左越えへ適時二塁打と3打点の活躍だ。早慶も狙えるほどの学力を持ち、クラスでも常にトップの成績を誇る秀才は「今日はまだ完璧なバントじゃない」と貪欲だった。

 甲子園春夏通算40勝。佐々木監督は「単打を積み重ねてうまく攻撃できたし、甲子園でいい試合ができている」と目を細めた。03年以来の優勝へ。常総学院は堅実な野球をいちずに貫いていく。(松井 いつき)

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