黒田 日米200勝あと2 オコエ衝撃「見たことがない感じ」

[ 2016年6月11日 05:30 ]

<楽・広>2回2死一、三塁、黒田とオコエの初対戦は初球を一邪飛

交流戦 広島6―0楽天

(6月10日 コボスタ宮城)
 再びカウントダウンが始まった。広島の黒田博樹投手(41)が10日、楽天戦に先発し、8回無失点で5勝目を挙げた。4月30日の中日戦(マツダ)以来41日ぶりの白星は、日米通算198勝目となった。メジャー移籍前の07年以来9年ぶりの仙台での登板。9安打を浴びながら粘り強く投げ、今季最多の7三振を奪った。初対戦となったルーキーのオコエ瑠偉外野手(18)も3打数無安打に抑え、23歳差対決を制した。

 わずか1球で衝撃を与えた。2回2死一、三塁のピンチ。黒田は初対戦のオコエに初球、143キロを投じた。真ん中付近から急激に内角に切れ込む。宝刀ツーシーム。完全に詰まらせ、一邪飛に打ち取った。18歳は「凄くボールが動いていた。見たことがない感じ」と驚きを隠せない。41歳右腕は、23歳も年下の話題の高卒ルーキーを3打数無安打に抑え込んだ。

 同世代対決ではギアを上げた。6回1死一、二塁で代打・松井稼を迎え、1ボール2ストライクと追い込んだ。最後は外角低めのツーシームで注文通りの二ゴロ併殺。右手でグラブをポンと叩いて達成感をにじませた。

 「僕自身、あそこは気持ちが入ったし、力も入った。結果的に併殺でしのげたのが大きい」。1学年下ながら、上宮とPL学園で高校時代からしのぎを削り、メジャーでも対戦した戦友だった。

 「序盤から得点してくれたので、一人一人に集中して投げられた。持っている今の力で、何とかゲームがつくれ、チームが勝てたのは大きい」

 慢性的な痛みを抱える右肩に消炎剤注射を打って臨んだ一戦。さかのぼって7日、マツダスタジアムに隣接する屋内練習場のマウンドには、変化球を15球投げる黒田の姿があった。前2週は体調を考慮して回避し、3週間ぶりに再開した登板3日前のルーティンだ。

 「できればブルペンで変化球の曲がりなどをチェックしたい。でも、もう難しい。今ある体で最善を尽くすしかない」

 元々ブルペンでの投球練習を重視するタイプ。回避した際に黒田はそう打ち明け、「登板日によりよいコンディションで臨むことが大事だから」と付言した。いくばくかでも状態が改善したからこその15球。それが粘投を呼び、日米通算198勝目につながった。

 救援陣の疲労を少しでも軽減しようと、8回の続投を志願し、投げ抜いた116球。「こういう展開の時こそ力になれれば」という41歳に、緒方監督は「連戦が続き、中継ぎ陣がしんどいところで8回を投げ切ってくれた。走者を出しながらよく粘った」と最敬礼だ。

 4月30日の中日戦(マツダ)から足踏みが続いた偉業への道のり。41日ぶりに一歩前進し、残り2勝に迫った。それでも、黒田は意に介さない。「先のことは考えられない。しっかりした状態で次の登板に臨む。それしか考えていない」。トンネルは抜けた。一気に大台へ加速する。

続きを表示

この記事のフォト

2016年6月11日のニュース