開幕52戦目やっと…巨人・内海 今季初白星「最後だと思って」

[ 2016年6月2日 05:30 ]

<オ・巨>今季初勝利の内海(右)は最後を締めた沢村(中)からウイニングボールを受け取り満面の笑み。左は高橋監督

交流戦 巨人1―0オリックス

(6月1日 京セラD)
 いつ以来の笑顔だろうか。やっと、心の底から笑えた。巨人・内海の元にナインが次々とハイタッチを求めてきた。

 「うれしいです。諦めずにやってきてよかった。ヒーローインタビューはもう、なかなかできないと思っていた」

 3度目の先発で手にした今季初勝利。真骨頂の粘りを見せた。初回2死二塁でモレルを内角直球で見逃し三振。「右にも左にも内角に投げることができた。ここ2試合は投げきれなかったが、(投球の)幅が広がった」。5回1死二、三塁のピンチも抑えた。打線の援護がない中で耐えた。6回3安打無失点だった。

 開幕2軍。3月下旬に降格した際、首脳陣からカットボールの習得を勧められた。球種が増えれば選択肢は広がる。助言を真摯(しんし)に受け止めたが「不器用なので投げられなかった」。同時に心の奥底にあったのは「まだそこ(新球の習得)にいきたくない。自分の中でもせめぎ合いです」。どちらも本音。状態を戻せば球威は生き返るという思いがあった。

 だからこそ2軍では理想の投球フォームを追い続けた。左足一本で立ち、しっかりとタメをつくってから右足が着地する。ところが昨季終盤に左肩を痛めた際の悪癖なのか、右足の着地が早い。体が開いて打者から球の出どころが見やすくなっていた。何十回と映像を見返したが「原因が分からない」と苦しんだ。出口の見えないトンネル。2軍で成績を残した平良や長谷川ら若手が次々と1軍に呼ばれていった。焦りからチーム内でも人格者と慕われる男が2軍の首脳陣と衝突したこともあった。それほどまでに追い込まれていた。1軍昇格後も2試合は結果を残せず「今日が最後(のチャンス)だと思っていた。予想以上に緊張した」という。高橋監督は「内海らしい投球ができていた」と阿部に続く、ベテラン勢の復活を喜んだ。

 チームは交流戦で12球団唯一の2連勝。貯金生活に戻し、単独2位に浮上した。12年に無傷の4勝で交流戦MVPに輝いた内海は、交流戦歴代4位タイの通算21勝目。「家族に渡したい。一緒に頑張ってきた」。ウイニングボールを手にした34歳左腕の16年がやっと「開幕」した。 (川手 達矢)

 ≪交流戦通算21勝!歴代4位タイ≫内海(巨)が6回無失点で今季初勝利。自身交流戦勝利は14年5月29日楽天戦以来2年ぶり通算21勝目。石川(ヤ)、田中(楽)、成瀬(ヤ)と並ぶ4位タイに浮上した。チームは初回に坂本の一塁ゴロの間に挙げた1点を守り完封勝利。巨人の交流戦1―0完封は、昨年6月4日オリックス戦以来6度目になるが、スミ1は初めてだ。なお、巨人の交流戦連勝スタートは14年以来7度目。3連勝に伸ばすと12年に7連勝したのに次ぎ2度目になるがどうか。

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