江越「やったりました」駒大先輩の意地 絶叫V撃

[ 2016年4月15日 05:43 ]

<神・D>6回1死一・三塁、江越が右越えに勝ち越しの適時二塁打を放ち雄たけびをあげる

セ・リーグ 阪神5-2DeNA

(4月14日 甲子園)
 やったりました! 阪神の江越大賀外野手(23)が14日のDeNA戦(甲子園)で、同点で迎えた6回に決勝二塁打を放ち、今季初めて甲子園のお立ち台へ。駒大の1学年後輩の先発・今永に連続三振に倒れていたが最後に先輩の意地を見せた。チームも2連勝で10勝到達、広島とともに、巨人を追い抜いて首位に立った。

 絶対に打ちたい理由があった。「やったりました!」―。お立ち台で叫んだ一言に江越の思いが凝縮されていた。1―1の6回1死一、三塁での第3打席。相手は2打席連続三振に抑えられていた、駒大で1年後輩の今永だ。外角直球を右翼フェンス直撃の二塁打。先輩の貫禄を示した。

 「1、2打席で簡単に三振してしまっていたので、何とかつなごうと」

 知りつくした相手の得意球を狙った。試合前、警戒すべきポイントに挙げたのが直球だった。「あれ(高め直球のつり球)が1番自信のある球なので、そこを捨てて。あまり内角を意識せずに詰まっても良いというつもりで」。言葉通りの1球を、短く持ったバットで仕留めた。

 「球速もガン以上に出ていた。大学時代は後ろから見ていてすごいなと思っていた。打席で、改めて良い投手だなと」

 駒大時代、今永とは投打の中心的存在。江越が4年、今永が3年のときの明治神宮大会で日本一に輝いたことが両者のハイライトだ。でも、江越にとっては「最悪の大会」として記憶に残っている。「これまでで1番調子が悪かった時期です。プロ入りも決まっていたけど、行くのもためらうぐらいに最悪で…」。明大との決勝戦では2点適時打を放ったが、大会を通じては3試合で8打数2安打。本塁打も0だった。「あれを乗り越えるのは相当苦しかったですね」。母・照江さんに珍しく電話を入れて相談したほどの大スランプだった。

 一方の今永は3試合に登板し、防御率0・64。決勝戦でも6回から登板して4回3安打無失点と、完全に中心にいた。「あのときは投手陣や、他の野手にも助けられて、僕は何もしてないのと一緒ですよ。チームへの申し訳なさが大きいです」。歓喜の輪の中で、心の底から喜べなかった自分がいる。2年後、プロでは敵として対峙した後輩には、勝った。胸に残っていたしこりが、少しだけ軽くなった。

 「まだレギュラーとは思っていない。試合に出されること自体ありがたい。1試合1試合集中して、アピールできれば」

 「最悪な思い出」に決別を告げた。プロの洗礼を浴びせた…とは思っていない。これからも切磋琢磨(せっさたくま)していく関係だが、ただ、少しだけ自信がついたのは確かだ。(久林 幸平)

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2016年4月15日のニュース