背中痛が何や!鳥谷 今季初4安打 これぞ新鉄人

[ 2015年7月1日 05:30 ]

<ヤ・神>8回2死二塁、一塁内野安打を放った鳥谷(右)はオンドルセクの失策を誘い、同点とする

セ・リーグ 阪神3-4ヤクルト

(6月30日 神宮)
 阪神は30日、ヤクルト戦(神宮)で惜敗を喫して連勝が「6」で止まった。同カードの連勝も「7」でストップ。悔しい敗戦の中、背中付近の負傷を心配されていた鳥谷敬内野手(34)が昨年8月27日の巨人戦(東京ドーム)以来、今季初4安打を放った。死球の影響で2試合連続の7番出場ながら不安一蹴の奮闘。猛虎の主将が新鉄人ぶりを見せつけた。

 痛みに耐えながらのフルスイングだった。「試合に出ている以上はね…」。多くの言葉は必要ない。結果ですべてを表現した。昨年8月27日の巨人戦(東京ドーム)以来となる4安打。背中の負傷を抱えながらも出場を続ける鳥谷がバットでチームを引っ張った。

 「ヒットが2人続いて自分に回ってきたので、いい流れを止めないようにと思っていた。ランナーを還せたし、自分の仕事ができてよかった」

 圧巻は4回の第2打席だった。1死からマートン、今成の連打で得た好機。本来ならば期待の薄れる7番に打順を下げていた鳥谷がいた。1ボールからの2球目。先発の小川が投じた内角へのカットボールをとらえた。やや詰まりながらもフルスイングではじき返した打球は右中間フェンスを直撃。先制打としては申し分ない一打で2人の走者を本塁へ迎え入れた。

 「コンパクトに振れているから、芯でとらえる確率が上がって(打撃が)いい方向に出ている」

 和田監督は打撃内容に目を細めた。ただし、体の状態は万全ではない。21日のヤクルト戦(甲子園)で背中付近に死球を受けた。何事もなかったかのように出場を続けていたが、28日のDeNA戦(甲子園)で5年ぶりに打順が7番に“降格”。和田監督は「死球の影響があった」と説明し、打撃面での負担軽減を意図した措置を示唆した。

 移動日を挟んでも異変は続いていた。試合前練習では遊撃の位置で打球処理を繰り返す鳥谷の真後ろで和田監督と平田ヘッドコーチが横並びでチェック。本人が「(背中の状態は)普通」と強調しても決して軽症ではないことは明らかだ。

 もちろん、グラウンド上では負傷を言い訳にしない。2回には左翼線に二塁打、6回も左前打、8回には同点につながる一塁強襲の内野安打を記録。広角に打ち分けて2日のロッテ戦(甲子園)以来となる今季4度目、チーム唯一の猛打賞で鉄人ぶりを見せつけた。

 「ずっと勝てるわけじゃない。あした引きずらずに勝ちたいと思う」

 6連勝で止まった帰路でも前を向いた。7番で出た2試合で6打数5安打2四球。打順の上位復帰はあるのか。連続出場は1537試合目、連続フルイニング出場は503試合目。たとえ傷を負っていても猛虎に不可欠な存在であることを印象づけた神宮の夜だった。 (山本 浩之)

 ▼阪神・平田ヘッドコーチ(7番の鳥谷が4安打)コンディションのことなど考慮しないといけないが、打順を1番に戻すかどうかは検討材料だ。 

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