原監督「やりゃあ、できる」黒田撃ち 2三振阿部同点打、9回逆転劇勝

[ 2015年7月1日 05:30 ]

<巨・広>9回1死一、三塁、サヨナラとなる左犠飛を打った亀井(中央)は阿部(右)らに祝福される

セ・リーグ 巨人2-1広島

(6月30日 東京D)
 巨人は30日、広島を相手に逆転サヨナラ勝ちを収めた。8年ぶりに国内復帰し、今季初対戦となった黒田博樹投手(40)に8回まで無得点に抑えられたが、0―1で迎えた9回に1死一、三塁の好機を築き、阿部慎之助内野手(36)が右前に同点打。それまで2三振を喫していた4番打者が雪辱し、亀井善行外野手(32)の左犠飛で決めた。勝率5割に復帰。土壇場で難敵を攻略し、首位・阪神に1ゲーム差に迫った。

 マウンド付近で逆転サヨナラ勝ちの喜びを爆発させた巨人ナイン。阿部は会心の笑みで輪の中に、プロレスラー越中詩郎ばりのヒップアタックで飛び込んだ。お立ち台。お決まりの「最高で~す!」が高らかに響いた。

 0―1の9回1死一、三塁、4球続いた黒田の外角ツーシームを捉え、右前に同点打。完封目前の黒田を攻略し、亀井のサヨナラ犠飛を呼び込んだ。「ここで打たないと(報道で)叩かれるかなと思って頑張りました」。4万2858人が詰め掛けた東京ドームのスタンドの笑いを誘った。

 三度目の正直だった。第1打席は内角ボールゾーンからストライクに入ってくる「フロントドア」と呼ばれるツーシーム、第2打席は外角ボールゾーンからストライクに入ってくる「バックドア」と呼ばれるスライダーでいずれも見逃し三振。手も足も出なかった。しかし、心は折れていなかった。「追い込まれてからピシ、ピシと来られた。いい意味で開き直っていけた」。最速157キロの本格派だった07年までの対戦では打率・241。8年ぶりの対戦でもメジャー仕込みの「動く速球」に手を焼いたが、最後にやり返した。

 お膳立てしたのは原監督の攻撃的采配だった。7回、長野の左中間二塁打で無死二塁。ここで立岡に強攻させ、一ゴロで無得点で終わったが「自分でもリスクを背負って戦う時期がどこかにある。私はそれを選択した」と言った。黒田攻略へ信念を貫く。9回も先頭の長野が右前打。代走に鈴木を送った上で、立岡に送りバントをさせなかった。立岡は三振に倒れたが、坂本が中前打でつなぎ、阿部が仕留めた。原監督は「プレッシャーのかかるところで、役割というか重圧をはねのけた。そして勝った。総合力として打線がしっかりつながった。やりゃあ、できる」と声を弾ませた。

 阿部は28日のヤクルト戦(神宮)でチーム60試合ぶりに4番に復帰。原監督は「今シーズンはまだまだ考えないといけない。ただ1、3番に若武者2人を置いて4、5、6番は百戦錬磨の選手を置いておこうと今は思っている」と経験に信頼を寄せ、阿部も応えた。

 打撃に専念するため一塁手を務める主砲。「専念する以上、4番で引っ張らないといけない」と決意を持って臨んでおり「自分がチームに与える影響力が大きいのは分かっている」とも話す。だから、今季はこれまで以上に笑顔を大事にしているという。試合後、2戦連続で座った4番について聞かれると「意識せず、自然にできています」と穏やかな笑みをたたえた。 (大林 幹雄)

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