大谷155キロも開幕投手白紙…栗山監督「調整のつもりなら100年早い」

[ 2015年2月10日 05:30 ]

紅白戦の4回、グラブを叩き悔しそうな表情を見せる大谷

日本ハム紅白戦 紅組1―1白組

(2月9日 名護)
 155キロ出しても怒られた。日本ハム・大谷翔平投手(20)が9日、今季実戦初登板となる紅白戦に2番手で登板し、2回を2安打1失点(自責0)。最速155キロを2度マークするなど直球には力があったが、制球に安定感を欠いた。ぬかるんだマウンドに対応できなかったことも影響したが、栗山英樹監督(53)は打者に立ち向かう覇気が感じられないと指摘し、開幕投手も白紙に戻すと示唆。大本命の右腕には、さらなる奮起が求められている。

 紅白戦が始まる午後には雨が上がった名護だったが、栗山監督のカミナリが鳴りやむことはなかった。「(大谷は)良かったところはなし。調整のつもりなら、100年早い」。大谷が最速155キロの剛速球で衝撃を残したというのに、普段は温和な指揮官の表情は曇ったままだった。

 今季初の実戦登板は、2回2安打1失点(自責0)。大谷は「(ぬかるんだ)マウンドに対応しきれなかった」と分析しつつも、「良い球と悪い球がはっきりしていた。言い訳にならない」と唇をかんだ。紅組の2番手で3回から登板したがオフから本格的に取り組むワインドアップで制球を乱した。1死から飯山にはカウントを整えにいった144キロ直球を捉えられ、中前打。その後、2死一、二塁から岡を151キロ直球で詰まらせたが遊失で二塁走者の生還を許した。

 球速は公式戦さながらのスピードを誇った。4回は一転、走者なしでもセットポジションからの投球に変更。155キロを2度計測するなど、この日、全48球を投げ150キロ以上を9球もマーク。4回1死一塁では近藤をカーブで空振り三振に打ち取り、「昨年は主要な球ではなかったが今年は組み立てに使える」とわずかな手応えをつかんだが、不安定さは否めなかった。

 何でも良いものを取り入れようとする向上心は大谷の最大の長所でもある。ワインドアップ、横滑りの「新スライダー」――。栗山監督も「がむしゃらにやる中で試すのはOK」と前置きしたが、「実戦形式が練習になったらダメ。これが開幕戦だったらどうするか」と語気を強めた。報道で大谷の「開幕投手をやってみたい」という言葉を聞きそれが心底うれしかったからこそ、あえて厳しい言葉を並べた。

 すでに3月27日の楽天との開幕戦(札幌ドーム)から逆算して先発ローテーションが組まれているが、指揮官は「もう1回、(開幕投手は)白紙だな」とあらためて奮起を促した。次回登板は17日の韓国・KIAとの練習試合(名護)。大谷は「勝負の年であることには変わらない。自分がそこに食い込めるように頑張るだけ」と言い残した。絶対無敵の大エースへ。がむしゃらに走り続けるしかない。

 ▼ダイヤモンドバックス・林誠環太平洋担当ディレクター ばらつきあったみたいだけどなかなかいない素材。3年目に期待している。

 ▼ヤクルト・小川淳司SD(シニアディレクター) フォークは抜けていたけど、この時期に155キロを出せれば十分。このクラスの投手は開幕に向けて調整するだけ。

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