筒香2発!キヨシ監督 3年目やっとG3連戦初勝ち越し

[ 2014年5月9日 05:30 ]

<巨・D>巨人との3連戦に勝ち越し、喜びを噛みしめる中畑監督

セ・リーグ DeNA7―6巨人

(5月8日 東京D)
 DeNAは8日、巨人に競り勝ち、中畑清監督(60)は就任3年目で初の同カード3連戦勝ち越しを決めた。未完の大器・筒香嘉智内野手(22)が2打席連続本塁打を放てば、代打策も的中。4点差を逆転される苦しい展開に必死に食らいつき、6日の初戦に続いて1点差勝利をもぎ取った。総力戦でつかんだ大きな1勝。チームは依然最下位だが、古巣・巨人への強烈な対抗心を見せてきた指揮官は確かな手応えをつかんだ。

 東京ドームの左翼の一角で声をからして応援し続けたファンへ、中畑監督は手を振り続けた。4点差をひっくり返されたが、再逆転する粘りの野球。就任3年目で、ついに巨人戦3連戦での勝ち越しをもぎとった。

 「長かったねえ。選手全員を褒めてあげたい」。思わず声が上ずる。ネット裏の球団特別室で、恩師でもある長嶋茂雄巨人軍終身名誉監督が見ていたことを知らされると「長嶋さん、来てたの?あいさつしてない…まずいよ!野球界全体を考えている方。こういう試合は喜んでくれると思う」と興奮を隠せなかった。

 打線を引っ張ったのは、就任以来、目をかけてきた筒香だ。2回無死二塁で142キロの直球をバックスクリーンへ先制の4号2ラン。3回もフルカウントからスライダーに上体が突っ込むのを我慢して振り抜き、右翼へ5号ソロを放った。左腕・今村からの2打席連発。「うれしい。ケガ明けは調子が良くなかったのでホッとしている」と笑みを浮かべた。

 1日の中日戦(横浜)でファウルを打った際に左股関節痛を発症。「大丈夫です」と気丈に振る舞ったが、実際は歩くだけで痛みが走るほどの重症だった。2日に横浜市内の病院で患部に痛み止めを打って3日の広島戦(マツダ)から強行出場。この日も練習中に監督室に呼び出され「休むか?」と聞かれたが「痛くないです」と言い切った。絶対に休まない。強い信念には理由があった。

 4年目の昨季も打率・216、1本塁打と期待を裏切った。8月以降は2軍暮らし。若手主体の秋季キャンプのメンバーからも外れた。首脳陣から「筒香を外して良いんですか?」との声が上がったが、中畑監督は「一度奈落の底に落として、はい上がらなければあいつの野球人生はこのまま終わる」と決断した。

 筒香も目の色を変えた。「今年を野球人生最高の年にします」。年明けから酒を一切飲まず、勧められても断った。食事は脂身の少ない肉だけを食べ、炭水化物の摂取量も大幅に減らした。「体の切れが今までと全然違う」と春季キャンプから鋭いスイングは際立っていた。この日は好調時を思い出し、重心を下げたフォームで2発3打点と期待に応えた。

 チームはまだ借金10だが、巨人戦のカード勝ち越しは反攻の大きなきっかけになる。「巨人戦がキーポイント。対戦成績を五分にすれば戦える。この勝ち越しで勢いをつける」と中畑監督。悔しい思いはもう十分。はい上がるだけだ。

 ≪巨人との3連戦勝ち越しは3年ぶり≫DeNAが巨人との3連戦に2勝1敗で勝ち越した。横浜からDeNAとなった12年以降、12度あった3連戦は負け越しが11度、1勝1敗1分けが1度。勝ち越したのは横浜時代の11年10月4~6日(東京ドーム=2勝1敗)以来3年ぶりとなった。東京ドームでは過去2年間で2勝14敗2分けと大きく負け越していたが、今季は早くも同じ勝利数を挙げた。

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