“合格”統一球 22日にも納入へ「5月には安定供給」

[ 2014年4月16日 06:20 ]

ミズノ製NPB統一球。(左から)毛糸が巻かれた状態、断面、ポリエステル糸が巻かれた状態(牛表革が巻かれる一歩手前の状態)

 統一球の反発係数がセ・パ両リーグのアグリーメントに定められた基準値の上限より高い数値を示した問題で、製造元のミズノ社の水野明人社長(64)が15日、都内で記者会見し、今後はミズノテクニクス社内で管理している在庫の約2300ダースを全球検査して、22日をめどに適合品を各球団に納入する考えを示した。反発係数の検査は、17日に日本車両検査協会で行われる。

 さらに製造段階での品質管理を強化し、規定に適合する球の生産も開始するとした。1日200ダースの製造が可能で「5月上旬には安定供給が可能」との見通しを語った。

 水野社長は「私たちの不手際により、皆さまに多大なご迷惑をお掛けし、心からおわび申し上げます」と謝罪。反発係数が上がった原因として、球の芯を巻く毛糸(ウール)の乾燥を挙げた。含水率が下がった乾燥した毛糸で重量、外周の大きさを合わせるためには、より多くの毛糸が必要となり、通常よりきつく巻かざるを得ない。そのため球が硬くなり、反発係数が上がったとの調査結果を報告した。

 含水率が下がった理由については、中国・上海の同社工場にある温度と湿度を一定に管理して毛糸を保存する安定室が、事故による毛糸への引火等を防ぐ理由から夜間は加湿器を止めていたことを要因として挙げた。

 また、出荷前のミズノ側の検査では規定内に収まっていたが、日本野球機構(NPB)が委託している第三者機関との測定データに違いがあり、自社では超過を把握できなかったという。

 熊崎勝彦コミッショナーは「ご迷惑をかけている状況を一日でも早く解消したい」と話し、今後の対策として検査態勢の強化を掲げた。公式戦中に年3回のペースで行う通常検査に加え、オープン戦用の球の納品前や開幕前にも実施する方針を示し「二重、三重のチェックをやらないといけない」と言及した。

 ▼楽天・嶋(労組・日本プロ野球選手会会長)今後こういうことがないようにしてほしい。

 ≪各国リーグ公式球の反発係数≫

 <米国>大リーグは供給メーカーがローリングス社だけで、同一スペック(規格)のため測定は行っていない。

 <韓国>KBO(韓国野球委員会)は測定しているが非公表。使用球は国内4社から各球団の選択。反発係数基準値は0・4134~0・4374。

 <台湾>CPBL(中華職業棒球大連盟)は測定しているが非公表。供給メーカーは1社。

 <日本>NPBはミズノ社の1社で公表する。基準値は0・4034~0・4234。

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