【野球のツボ】飛ぶボールでロッテ・ブラゼルに復活の予感

[ 2013年6月26日 16:01 ]

飛ぶボールで、ロッテでの活躍が期待されるブラゼル

 ペナントレースも中盤に突入したが、「飛び仕様」に変わっていた統一球が、試合にも影響を与えはじめているように感じられる。詳しいデータはいずれまとまった形で出てくると思うが、打高投低傾向はますます明確なものとなり、勝負どころでのホームランも増えてきている。また、投手も長打を警戒するあまり、四球でピンチを招くケースが多くなっているように思う。

 開幕から「ボールが飛ぶ」という感触は選手それぞれにあったのだが、まだ半信半疑な部分もあったはずだ。それが、NPBの釈明により、本当に変わっていたことが明らかになったことで、選手の心理はガラリと違ってきたように見受けられる。「飛ぶかもしれない」という段階と、「今年は飛ぶんだ」と確証した上でのプレーは、心理的に大きな違いを生む。

 昨年までは「強く振らないと飛ばない」というボールで、打者泣かせだった。ところが今では「シンでとらえたら飛ぶ」という状況。多少詰まっても行く、となると、特に打者の気持ちは楽になってくる。プレッシャーから解放されることほど、選手にとってありがたい話はないのだ。

 こうなると、戦い方にも変化は出てくる。各球団も昨年まで飛ばないボールに苦しめられただけに、今年の序盤も「確実に走者を進めていく」という作戦が、各球団にもあったのだが、これからは積極的に振り、大量得点を狙う野球が、プラスに作用するかもしれない。早めに切り替えた方がペナントレースでも有利になると思う。

 そういう意味で、注目しているのがパの首位を走るロッテが獲得した前阪神のブラゼルだ。統一球導入以前の2010年には阪神で47本塁打を放った長距離砲だが、導入後は11年16本塁打、12年12本塁打と苦しんだ。統一球のままならリストアップされることもなかったブラゼルだが、ボールが飛ぶのなら、日本のストライクゾーンや配球に対する経験も生きてくる。米独立リーグでどんなプレーをしていたのかは分からないが、ロッテは面白い補強をしたと考えている。「飛ぶボール」効果を、ブラゼルがどういう形で見せてくれるか。打棒爆発の予感もする。(前WBC日本代表コーチ)

 ◆高代 延博(たかしろ・のぶひろ)1954年5月27日生まれ、58歳。奈良県出身。智弁学園-法大-東芝-日本ハム-広島。引退後は広島、日本ハム、ロッテ、中日、韓国ハンファ、オリックスでコーチ。WBCでは09年、13年と2大会連続でコーチを務めた。

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