イチ流つない打「それだけでは勝てないですから」

[ 2012年9月9日 06:00 ]

<オリオールズ・ヤンキース>9回2死二塁、ジーターの適時打で二塁から生還するマリナーズ・イチロー

ア・リーグ ヤンキース8―5オリオールズ

(9月7日 ボルティモア)
 ヤンキースのイチロー外野手(38)は7日(日本時間8日)、同率首位で並んでいたオリオールズとの首位攻防第2戦に途中出場し、2打数1安打。9回に左前打で出塁して8点目のホームを踏み、チームは1日で単独首位に返り咲いた。ヤ軍は8得点のうち7得点が本塁打によるもの。イチローは適時打による唯一の得点に絡み、大砲ぞろいの打線の中で存在感を光らせた。

 両軍3本塁打ずつとド派手に打ち合った試合だからこそ、渋くつないで挙げた得点の価値は増す。負ければ6月11日から守ってきた首位から陥落する一戦で、逃げ切り勝ち。右翼の守備位置で勝利を見届けたイチローも「大事なゲームというのは、それ(本塁打)だけでは勝てないですから」と強調した。

 先発して3安打を放った前日から一転、首位攻防4連戦の第2ラウンドはベンチスタートだった。元中日のチェンに対し、5回までに3本塁打で7―0と大量リードしながら、前日に6本塁打したオ軍打線がこの日も一発攻勢で3点差まで追い上げる。その反撃ムードを断つ9回の1点はイチローの安打から生まれた。6回に代打で登場し、迎えた2打席目。1死から左前打で出塁すると、内野ゴロで進塁し、続くジーターの中前打で8点目のホームを踏んだ。

 「僕は前半戦からずっとこのチームの戦い方を見ていないですけれど、これからの戦い方には、そういうこと(本塁打以外の得点)が増えるんじゃないですか」

 両リーグ最多の207本塁打を誇るヤ軍と、179本で同2位のオ軍。本塁打は野球の華だが、1試合の重要性が増すシーズン終盤やポストシーズンでは、一発頼みの野球はもろさも伴う。地元メディアからも「本塁打でしか得点できない」と批判される中、イチローの安打からつないで得点した意味は大きい。

 自分が出塁すれば、後続が還してくれる。その図式を再確認したイチロー。満足げな表情を浮かべて、球場を後にした。

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