マエケンに異例の続投指令 野村監督「打線も“負けるか”と」

[ 2012年9月9日 06:00 ]

<広・D>完封で13勝目を挙げた広島・前田健

セ・リーグ 広島3-0DeNA

(9月8日 マツダ)
 広島・前田健が9回のマウンドに上がるのは、ノーヒットノーランを達成した4月6日のDeNA戦(横浜)以来だった。8回を終えてリードは3点。既に117球を投げていた。これまでの流れを踏まえると交代かと思われた。だが、野村監督は「行ってくれ」とエースに声をかけた。

 「久しぶりに緊張した。行く限りは完封しないと意味がない。(前日の)0―1はあとに引く負け方。悪い流れを止められればと思っていた」。1死一、二塁とピンチを招いたが、最後は梶谷を投直併殺に仕留める。三塁を踏ませず、今季最多の131球で今季2度目の完封。負ければ4位転落の可能性もあった試合でチームの連敗を2で止めたばかりか、リーグ単独トップの13勝目で防御率も1・46。投手2冠を守った。

 「毎回走者を出しているイメージだった」と振り返る通り、3者凡退は5、7、8回の3イニングのみ。それでもピンチをピンチと感じさせない凄みがある。打線は前の試合まで9試合連続の2点以下で、奮闘する投手陣を援護できずにいた。野村監督は前田健を9回も続投させた理由について「マエケンが“俺に付いて来い”という姿を見せたら、打線も“負けるか”となる。そういう期待を込めて完投、完封に懸けた」と説明。野手陣へのメッセージでもあった。

 初のCS進出を懸けた戦いは佳境に入っている。チームは重圧を感じているが、前田健は「僕は今が楽しい」と言い切った。24歳エースの存在は何とも頼もしい。

 ≪2度目Wタイトルならセ3人目≫前田健(広)が完封でハーラー単独トップの13勝目。今季DeNA戦は6試合に登板し、4月6日のノーヒットノーランを含め5勝1敗(防御率0.56)。自身同一カードでシーズン5勝は初めてだ。また、完封勝利は通算8度目になるが、DeNA戦で半数の4度記録している。防御率も1.46としリーグ1位をキープ。前田健は10年に最優秀防御率、最多勝の両タイトルを獲得。セで最優秀防御率と最多勝のWタイトルを2度以上手にしているのは斎藤雅3度(巨=89、90、96年)、金田2度(国鉄=57、58年)といるだけ。前田健にリーグ3人目の期待がかかる。

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2012年9月9日のニュース