打順降格…2番・イチ 26打席ぶりヒットも淡々

[ 2012年7月9日 06:00 ]

<マリナーズ・アスレチックス>5回、6試合ぶりの安打を中前に放つマリナーズのイチロー

ア・リーグ マリナーズ7―1アスレチックス

(7月7日 オークランド)
 マリナーズのイチロー外野手(38)が7日(日本時間8日)、アスレチックス戦でメジャー通算1833試合目の出場で初めてとなる2番打者で先発出場し、5回に中前打を放ち、6試合26打席ぶりの安打を記録した。7回にも内野安打したが、今季は開幕3番で始まり、1番、2番とこれで前半戦だけで2度目の打順「降格」。イチローにとっては前例のない処遇を受けるシーズンとなっている。

 遅い球にグリップがしっかり残った。フルカウントから外角のチェンジアップを中前へ運んだ。ようやくの7月初安打。しかし、イチローは「どうですかね。(6試合26打席ぶりの安打も)そんな特別な感じはなかったですね」と淡々とした口調で振り返った。

 メジャーで初となる2番打者としての出場。今季54試合目で3番から1番に打順が戻った際には「僕の場所」と話したイチロー。その1番からの「再降格」にもかかわらず、エリク・ウェッジ監督から試合前に意図を含めた説明はなかったという。「話はないよ。“報告”がありました」と一方的な通告だったと明かした。打線組み替えの最大の目的は「元来は1番打者」(同監督)で打率2割3分台に低迷する期待株アクリーの1番での再生。不振の背番号51に特別扱いはなく、チーム事情に押し出された。

 悔しさは胸に秘めた。「結果を出していないからね。何でもありの状況だし、他の皆もそうやっている。僕もそういう気持ちでやる」。事実を冷静に受け止め、打席に集中した。3回、右中間を抜けるかという当たりを右翼手にダイビングキャッチされ自己ワーストの25打席連続無安打となった。それでも「普通のフライ。ああやって捕っただけ」と気に留めず、直後の第3打席で快音を響かせた。カーブを打ち損じた9回の一ゴロについては「悔しかったですね。きっちりヒットにしたいところ」といつも通りの貪欲さをのぞかせた。

 3番から1番に戻った6月1日ホワイトソックス戦でも1安打1盗塁、翌2日の同戦では2本塁打を放って意地を見せた。指揮官は「違う状況を与えるといい反応が出る」と評し、「2番でもう少し見てみたい」とこの日に限った暫定的な措置ではないことを口にした。球宴後に再びリードオフマンを任される保証はない。打ったことではなく、打てないことがニュースになる従来のイチローに戻るしかない。

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