イメージはスピードスケート 聖沢の盗塁の秘けつに迫る

[ 2012年2月5日 13:17 ]

聖沢スタートダッシュ(1)中腰の姿勢から開始

 昨季パ・リーグ2位の52盗塁をマークした楽天・聖沢諒外野手(26)の極意はスタートにあり。98年長野五輪スピードスケート男子500メートル金メダリストの清水宏保氏(37)の代名詞であるロケットスタートを参考に、スタートから5歩目までは這(は)うような低い姿勢でトップスピードに乗る。52盗塁を叩き出した低空スタートの秘けつに迫った。

 中腰の姿勢から聖沢が走塁練習を開始した。一塁ベースからリードを取って左足で踏み出すと、上半身が地面に着かんばかりの姿勢をキープ。その状態でトップスピードに乗ると、6歩目から上体を起こして二塁へ向かう。この低空スタートが聖沢の最大の武器だ。

 「5歩目までは清水さんをイメージしています。スケートは蹴りますが、はうように足を使っていくんです。試合では少し浮いてしまうので、練習では極端に低く」。重心が低ければ、より両脚にエネルギーがたまる。それを解放した時に爆発的なスピード力につながる。重心が高ければ体が浮いた状態になり、力が入らない。モデルは98年長野五輪スピードスケート男子500メートル金メダリスト・清水宏保氏のロケットスタートだった。

 低い重心。そのために左足をほとんど上げずに前方へ踏み出す。地をはうように走りだすことで体が浮かず、速やかに上半身が地面と平行になるような低い姿勢に移行できる。スケートからヒントを得たのは10年シーズン。当時は1歩目からトップスピードを求めたが、「体が浮いたり、力みにつながる」と改良点を模索。昨季終盤になって、5歩まで低空姿勢を保つことがスピードに乗る秘けつだと気づいた。

 特徴は大きなリードにもある。元盗塁王の同僚・松井稼のリードは3メートル30だが、聖沢は3メートル90。どの球場でも両足がアンツーカーからはみ出ている。「僕は足が遅いので、大きくとらないといけない」。50メートル走は6秒0。球界には5秒台の選手も多いが、聖沢は大きなリードをとれるだけ相手投手の癖や配球の研究を重ね、その上でロケットスタートを切る。だからこそ、10年の24盗塁から昨季52盗塁まで飛躍的に数字を伸ばすことができたのだ。

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