“勝利宣言”のレンジャーズ、ダル獲得に緻密な戦略

[ 2012年1月20日 06:00 ]

契約がまとまり、会見を行った(左から)ライアン社長、ダニエルズGM、代理人・アーン・テレム氏、団野村氏

ダルビッシュ、レンジャーズ決定

 ダルビッシュとの契約合意にこぎつけたレンジャーズのダニエルズGMは「きょうは歴史的な一日」と勝利宣言した。史上最高額の5170万3411ドル(約39億8120万円)で落札。しかし、レンジャーズの熱意は破格の入札金だけではなかった。そこには緻密な戦略があった。

 1月2日。球団施設などを視察するためにアーリントン入りしたダルビッシュを待っていたのは、粋な演出だった。レンジャーズ・ボールパークに足を踏み入れると、大型スクリーンに約5分間のビデオが流れた。ライアン球団社長、ダニエルズGM、看板選手のハミルトンとキンスラーが次々に登場し、メッセージを送った。さらに現地の日本人の小学生も入団を呼び掛けた。映像の最後にはライアン社長らが日本語で「テキサスへ、ようこそ!」と歓迎した。

 レ軍は独占交渉権獲得後からチームやアーリントンの町を紹介するビデオを作製。ダルビッシュにはDVDにして手渡したという。ライアン社長は友情の証としてテキサスのシンボルであるウエスタンブーツも贈った。

 先週にはジョシュ・ボイド・プロスカウト部長が極秘来日。大阪市内のダルビッシュの両親の元へあいさつに訪れた。ダニエルズGMは「われわれは彼の生い立ち、家族、どんなチームメートと気が合うのか、夜は何をしているのか、全て知りたかった」と明かした。

 レ軍がダルビッシュへの本格的な調査に着手したのは10年。昨季はシーズン中にダニエルズGMが異例の来日を果たし、投球を自分の目で確かめた。28試合の登板のうち、レ軍関係者は20試合以上で球場に足を運んだ。駐在スカウト以外に米国から視察に訪れたスカウトは10人。複数の目で確認することで、巨額の資金を投入するに値する選手との評価を下した。

 通算5714奪三振の大リーグ記録を持ち、レ軍を常勝軍団に築き上げたライアン球団社長は「獲得できてうれしい。若くて才能があり、将来は明るい」と言った。入札額の下4桁はライアン社長の現役時代の背番号「34」とダルビッシュの「11」を合わせたもの。球団創設51年目での初の世界一へ、態勢は整った。

続きを表示

2012年1月20日のニュース