沢村 同一カード3連敗阻止し新人トップの4勝目

[ 2011年6月27日 06:00 ]

<神・巨>雨の降る甲子園で熱投する沢村

セ・リーグ 巨人4-2阪神

(6月26日 甲子園)
 俺がNo・1ルーキーだ!巨人・沢村拓一投手(23)が26日の阪神戦に先発し、7回6安打無失点の好投。今季の新人の中で最多の4勝目を挙げた。シーズン73奪三振で初のリーグ単独トップにも浮上。負ければ今季ワーストの借金7となる危機を救い、チームを1日で3位に再浮上させた。この日は横浜・須田幸太投手(23)が2勝目を挙げれば、西武・牧田和久投手(24)は初セーブ。ルーキー大活躍の日曜日となった。

 ドクターKは、控えめに喜びを表した。黄色に包まれた敵地・甲子園。阪神ファンが帰り支度をする中でのお立ち台で「巨人ファンも阪神ファンも素晴らしい応援だった。2連敗でチームがもの凄く苦しい状況で勝てて良かった」と振り返った。

 4月21日にプロ初勝利を挙げた甲子園。2カ月前は剛球でねじ伏せたが、この日は違った。「パワーピッチャーと言ってもプロの打者は技術があるし、直球だけでは打ち返されるからね」と阿部。直球は95球中46球で、全投球の48%と過去の登板で最も割合が低かった。初回1死で平野に149キロ直球を痛打されると、3回の打席では6球すべて変化球。スライダー、フォークでカウントを稼ぎ、最後は左打者の外角からストライクゾーンに入るスライダーで見逃し三振に仕留めた。この適応能力があるからこそ、三振を量産できる。

 5三振は全て3回までに奪った。この日も含め12試合、3回までの計36イニングで奪った三振は38個。リーグ単独トップに躍り出た計73三振の半分以上で、奪三振率は9・5だ。序盤は全力で入り、2回り目以降はこの日のように打者の出方に合わせて変化球も交えて対応。特にカウントを整えられる最速141キロのフォークがあることで直球、スライダーが生きる。今年から導入された統一球。フォークは「抜け具合がしっくりこない」と困惑する投手が多いが、沢村は「違和感はない」。この日も計19球のフォークが効果的だった。

 「今回が一番心の余裕がある。相手は能見さん。ロースコアになると思う。胸を借りるつもりで投げる。勝たせていただきます」。まさに有言実行だった。これで自身初の連勝で4勝目。近づく夏場対策も万全だ。大学4年から登板前に炭水化物を大量摂取し、運動エネルギーの活力にする栄養摂取法「カーボ・ローディング」を取り入れている。25日はうどん、パスタ、白米と炭水化物を次々と平らげ「食欲が増すばかりです」。現在はベストより1キロ重い体重91キロをキープしている。

 「彼の修正能力の高さは言うことがない。セットポジションからリリースまで早いと言ったら、すぐ直した」と川口投手総合コーチ。しかし沢村の目標は高い。「まだ阿部さんのリードに頼りきり。配球の意図を理解して打者を見て投げたい」。防御率1・94。もはやその存在は、新人の枠に収まらない。

 ▼巨人・原監督 沢村は相手を見ながら投球ができるようになった。そういう意味で成長している。非常に良かった。

 ≪73奪三振はリーグ最多≫沢村(巨)が7回を6安打無失点に抑え4勝目を挙げた。この日は5三振を奪い、73奪三振はリーグ単独最多。新人が奪三振タイトルを獲得すれば、99年上原(巨)以来となる。今季デーゲームでは3試合で防御率0・89。セの規定投球回到達者で0点台は他に由規(ヤ=0・53)しかいない。これで14イニング連続無失点となり、防御率は1・94と1点台に。新人が規定投球回を投げ防御率1点台は、66年の堀内恒夫(巨=1・39)が最後。このまま1点台を維持できれば45年ぶりの快挙となるがどうか。

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2011年6月27日のニュース