満塁男だ中田!延長10回、走者一掃三塁打決めた

[ 2011年5月4日 06:00 ]

<オ・日> 延長10回2死満塁、中田は右越えに勝ち越しの適時三塁打を放つ 

プロ野球 パ・リーグ 日本ハム6-3オリックス

(5月3日 京セラD)
 満塁だ、延長だ、中田だ!日本ハム・中田翔内野手(22)が3日、オリックス戦で延長10回2死満塁で決勝三塁打を放ちチームを3連勝へと導いた。エース・ダルビッシュ有投手(24)が3―1の9回に2点差を追いつかれるまさかの展開も、土壇場で若きスラッガーが勝負強さを発揮して兄貴分に3勝目をプレゼント。チームは首位をガッチリとキープした。

 中田は心の中で祈った。抜けてくれ――。延長10回2死満塁、両脇を締めてバットを巻き付けるようにスイング。打球は背走する右翼・下山のグラブのわずか上を越えていった。

 「意地でも三塁走者を生還させるつもりだった。ひょっとして捕られるかと思ったけど抜けてくれてよかった」。三塁まで激走すると、沸き上がるベンチに向かって、右手を高々と突き上げた。

 「満塁なので初球から思い切っていくことだけを考えた」。だが、オリックスの守護神・岸田の1球目。真ん中外寄り低めの141キロ直球にバットを差し込まれた。一塁側へのファウルに「凄く球が切れていた。大振りしても当たらない。余分な力を抜いて、インパクトだけ力を入れるようにした」。ミートポイントをわずかに前に置いて2球目を待った。前より高く、甘く入った142キロ直球を右方向へ運んだ。

 入団4年目。高校通算87本塁打の金看板を背負いながらスポットライトを浴びる一方で左手首、左膝半月板と2度の手術を受けるなど苦難の道も歩んできた。1年目のオープン戦では14打席連続無安打。2軍落ちが決定的になると「ふざけんなよ、神様」の迷言も残した。そんな男の成長が凝縮された打席だった。

 「まだ右方向に本塁打は出ていないけど、徐々に強い打球が出てきている。キャンプからやってきたことがようやくできてきた」。7回、右翼フェンス直撃の二塁打もイメージ通りのスイングだった。今の中田は、遠くへ飛ばすことだけを追い求めてきた過去の姿とは違う。

 中田はこれで今季満塁の場面で2打数2安打5打点。通算では7打数4安打、打率・571だ。延長戦でも4打数3安打、打率・750と抜群の相性で、接戦になればなるほど頼りになる男といえる。梨田監督も「少しは成長したかな。こうやって(ベンチやナインとの)信頼関係ができてくれればいい」と頼もしげに見つめた。

 今季は開幕から5試合19打席連続無安打のどん底も味わった。2号2ランを放った1日の西武戦(札幌ドーム)は、同点の9回無死一塁で代打を送られる悔しさも糧にして面倒を見てくれる兄貴分のエース・ダルビッシュに3勝目をプレゼントする一打につなげた。

 「高校3年間でお世話になった人もたくさん見に来ている。そんな中で打ててうれしい」。大阪桐蔭時代を過ごした第二の故郷で、満面の笑みを浮かべた中田は、ひときわ輝いていた。

 ≪満塁で通算8打点.571≫中田(日)が延長10回に満塁走者一掃の勝ち越し三塁打。満塁では4月23日楽天戦で同点の2点左前打を放っており今季2打数2安打。通算7打数4安打(打率.571)8打点とビッグチャンスで結果を残している。また延長戦も通算4打数3安打と長丁場でも集中力が切れない。

 オリックス戦は1、2、2、2と今季4試合連続安打。各年度の同カード成績は
09年(3打数1安打、0本塁打、0打点、・333)
10年(32打数13安打、1本塁打、3打点、・406)
11年(16打数7安打、1本塁打、7打点、・438)
 通算打率.412とパの球団別では最高。16試合に出場して無安打に終わったのは09年1試合、10年2試合の計3試合しかない。

続きを表示

この記事のフォト

2011年5月4日のニュース