田沢 ENEOS日本一締め!さあメジャー

[ 2008年9月10日 06:00 ]

13年ぶり8度目の優勝に大喜びの田沢

 第79回都市対抗野球大会(スポニチ後援)最終日は9日、東京ドームで行われ、新日本石油ENEOSが13年ぶり歴代最多となる9度目の黒獅子旗を獲得した。3点リードした8回からは、大リーグ・レッドソックス入団が有力な田沢純一投手(22)が救援し、2回を無失点4奪三振。MVPにあたる橋戸賞に選ばれたアマ球界No・1右腕は11日にもメジャー移籍を表明する。チームは9度の決勝進出すべてで優勝。就任3年目の元近鉄・大久保秀昭監督(39)はプロ経験者では史上2人目の優勝監督となった。

 【新日本石油ENEOS4―1王子製紙】最後の打者・遠藤を力ない中飛に打ち取ると、田沢はマウンド上で仁王立ちになり、両手を突き上げた。そして歓喜の輪の中心で勝利の余韻に浸った。「素直にうれしいです。チームに残ってよかった」。ナインの手で3度宙に舞った156キロ右腕に笑顔がはじけた。
 出番は3点リードの8回。大歓声を受けて登場すると、最速150キロの速球がうなりを上げ、フォークが鋭く落ちた。死球による走者を許しただけで打者7人から4奪三振。今大会は先発3試合、救援2試合と全試合に登板し、4勝0敗。文句なしの橋戸賞だ。3月のスポニチに大会に続く“MVP”にお立ち台では「やっちゃいました!」と絶叫した。
 今秋のドラフト候補右腕だが、視線の先にあるのは海の向こうだ。試合後は進路について「今はまだ終わったばかりで…。これから考えたい」と明言を避けたが、周囲には「海外で自分の力を試したい」と漏らしている。大久保監督は「近日中に発表します」と話し、11日にも国内プロ12球団あてに指名を断る要望書を送付、メジャー挑戦を表明する。移籍先としては、松坂、岡島が所属し、スポニチ大会やオープン戦にもスカウトを派遣している昨季世界一軍団・レッドソックスが有力となっている。
 昨年の都市対抗では敗退した2回戦の鷺宮製作所戦に4番手で登板し1回5安打3失点。「チームに貢献していない」とプロには目もくれず残留を宣言し、レベルアップを図った。元日本ハムで昨年から指導にあたる高橋憲幸投手コーチの下、今年2月19日の鹿児島・指宿キャンプから8月28日の今大会開幕前まで試合を含め1万389球を投げ込んだ。制球を乱す悪い癖も影を潜め、メジャーを戦い抜く肉体も着々と出来上がってきた。
 だが、海を渡る前でやることはある。「日本選手権(11月)も獲りたい」。アマ球界No・1はチームの“3冠”を置き土産に最高峰の舞台に挑む。

 ▼新日本石油株式会社 1888年(明21)5月創立。硬式野球部創部は1950年(昭25)。都市対抗は43度目の出場で9度目の優勝。従業員数はグループ全体で1万2697人、資本金は1394億円(ともに08年3月末現在)。野球部の主なOBは藤田元司(元巨人、故人)、平松政次(元大洋)、川村丈夫(横浜)ら。本社は東京都港区西新橋1の3の12。西尾進路社長。

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2008年9月10日のニュース