虎の“アラフォー”交流戦首位に押し上げ

[ 2008年6月10日 06:00 ]

<阪神・オリックス>下柳(左)は矢野にお立ち台まで連れて行かれる

 【阪神4―1オリックス】阪神が“アラフォー・トリオ”の活躍で今交流戦初の首位タイに浮上した。下柳剛投手(40)が9日のオリックス戦に先発し、6回を4安打1失点で今季6勝目。40歳以上の投手が白星を挙げるのは球団59年ぶりの快挙となった。金本知憲外野手(40)が2打点、矢野輝弘捕手(39)も1打点と68年生まれの3人がお立ち台に登場。チームは今季3度目の5連勝を飾り、セ界を独走する虎が交流戦の優勝も頂く。

 40男が照れた。女房役の矢野に手を引っ張られて上がったお立ち台。下柳の第一声は「いつも通り恥ずかしいです」だった。金本、矢野との“アラフォー”トリオ初のそろい踏み。めったに見られない光景と軽妙なやりとりに、スタンドの虎党は大喜びだ。今季3度目の5連勝。勝利をたぐり寄せたのは、40歳になってから白星のなかった下柳の粘投だった。
 最初のピンチは2回。連打で無死一、二塁とされたが、日高をシュートで空振り三振斬り。5回無死一塁では、後藤をスライダーで注文通りの二ゴロ併殺打だ。変幻自在。6回1死一、三塁でローズに右前打を許したが、失点はこれだけ。続く北川を今度はシュートで遊ゴロ併殺打に仕留めた。6回7安打ながら1失点。5月16日の40歳の誕生日から4試合目、ようやくの“40代1勝”で今季6勝目を挙げた。
 「40代?39歳の時と一緒ですけど…。(投球内容は)まあまあじゃないですか。打線の援護とキャッチャーのリードが良かったから勝てました」
 大きな勲章も手にした。阪神で40歳以上の勝利投手は1949年10月8日の巨人戦での若林忠志以来、実に59年ぶりだ。快挙をサポートしたのが、同じ68年生まれの4番と恋女房。4回、無死二、三塁から2点を先制する左翼線安打を放った金本は「何とか打ててよかった。あの時、下柳が凄い顔をしてたんでね」。“あの時”とは初回1死一、二塁で二ゴロ併殺打に倒れた場面。強いきずなで結ばれる同期生は、再度のチャンスできっちりと結果を出した。加えて今季8度目の猛打賞。交流戦の打率・441は12球団トップだ。
 最後は矢野が、4回1死三塁から4点目となる右犠飛。好リードでも下柳を勝利に導き「シモが唯一、怖がるのが僕なので。しっかりリードできました」。05年のV旅行時から「いつかは3人で」と願っていたお立ち台。それが現実となり、笑顔の花を咲かせた。これでチームは楽天と並んで交流戦の首位に浮上。過去3年の交流戦Vはすべてパ球団だった。貯金21と独走のシーズンと合わせ、セ界初の“2冠”も現実味を帯びてきた。
 「(お立ち台は)照れくさいわ。最高の笑顔だった?飲み屋で姉ちゃんと飲んどる時の方がええ顔しとるよ!」。最後まではにかんでいた不惑の左腕。何とも頼もしい“アラフォー”トリオの奮闘が、快進撃のチームの屋台骨を支えている。

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2008年6月10日のニュース