元プロ・高橋監督が中大を6季ぶり1部に

[ 2008年6月10日 06:00 ]

1部昇格を決め高橋監督(前列中)を中心に歓喜する中大ナイン

 【中大4―2駒大】優勝24度の名門が再び復活の扉を開いた。東都大学野球リーグの1、2部入れ替え戦第3日、元巨人、東映で通算60勝をマークした高橋善正監督(64)率いる中大(2部1位)は駒大(1部6位)に4―2と勝利し、6季ぶりの1部復帰を決めた。井上晴哉内野手(1年)の先制ソロなどで4点を挙げ、4投手の継投で逃げ切った。一方の駒大は02年秋以来、12季ぶりの2部降格となった。

 力ない飛球が中堅・土居のグラブに収まると小雨舞う神宮の杜に歓喜の声が響いた。「いつもの3倍疲れたけど、こみ上げるものはあったよね」。4投手の継投で逃げ切った高橋監督は感慨深げにナインを見つめた。
 「元プロ野球選手」という肩書とともに臨んだ就任元年。現役時代に完全試合を経験したこともある指揮官は、孫ほど年の差がある選手に自身の経験を叩き込み、優勝24度の名門を1季目で1部昇格に導いた。その1つが投手の育成法。「投手はブルペンでは成長しない。実戦で制球を磨け」と、フリー打撃やシート打撃など真剣勝負の機会を増加した。前日の2回戦でノーヒットノーランの快挙を演じた1年生の渡辺は、この日も2点差の7回2死二塁から救援。最初の打者に安打を許したものの、最後まで投げきり「完全男には説得力があります」と感謝の言葉を口にした。
 グラウンド外でも親身に接した。2回に先制ソロを左翼席に叩き込んだ1年生の4番・井上晴は「監督は元プロ。でも気楽に温泉に誘ってくれる。僕もプロに行けると思っちゃいますよ」とそのカリスマ性を説明する。
 だが“高橋革命”はまだ始まったばかり。目標は中大創立125周年となる2010年の大学日本一。「これからも怒鳴るときは怒鳴る。日本一になるまで、1部で優勝しても胴上げはしません」。ナインが求める胴上げを拒否した高橋監督。自身が宙に舞うのは悲願を達成した時と決めている。

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2008年6月10日のニュース