井岡 大麻成分検出に「違反でも犯罪でもない」 王者返り咲きから一夜、潔白証明へ弁護士準備も
プロボクシングWBA世界スーパーフライ級新王者となった井岡一翔(34=志成)が25日、都内の所属ジムで一夜明け会見を行い、大麻成分検出騒動について言及した。ドーピング違反と判断されなかったことを強調し、前王者ジョシュア・フランコ(27=米国)との再戦直前に発表した日本ボクシングコミッション(JBC)の手順を改めて批判。陣営は潔白を証明するために、弁護士を立てる可能性も示唆した。
因縁の相手に勝利し、世界王座に返り咲いた井岡。喜びを語りつつ、大麻騒動について記者から質問が飛ぶと語気を強めた。
「結果として何もないなら何もないでいいじゃないですか。検査で出た量は違反ではないどころか、微々たるものというレベル(ぐらい少ない)。このことに対して自分としてはこれ以上話す義務はないと思っている」
世界反ドーピング機関(WADA)の基準値を下回ったため、JBCが違反ではないと判断したことを引き合いに、「ドーピング違反でもなくて、犯罪でもなくて何もないのであれば、JBCとWBAの中で話し合って、(さらに)僕たちと話し合っていればこんなことは起きなかったはず」と主張。怒りの矛先は、最終的な結論が出るまで約半年も要したことや、世界戦3日前という異例のタイミングで発表したJBCの手順へ向かった。「検体が出てからの順序が違うと思う。半年近くたった段階で言うのではなく、もっと早く、もっと効率よく対処できたはず。試合前に邪魔されているのかなという気持ちになった」と不満をぶちまけた。
JBCは検査機関の選定などに時間を要したと明かしており、直前での発表については「試合後に公表して隠蔽(いんぺい)を疑われたくなかった」と釈明している。両者の言い分は平行線。肝心の大麻成分が検出されたことについては、井岡陣営の二宮雄介マネジャーが「身に覚えのない話」と改めて潔白を主張。さらに、井岡の名誉回復のため弁護士を立てる意向も示唆した。
JBCは7月の第1週に行う倫理委員会で、倫理規定に違反するかを協議することを明らかにしている。4階級制覇王者としての貫禄を示す勝利だっただけに、騒動の早期決着が求められる。
【井岡これまでの経過】
▽22・12・31 WBO&WBA世界スーパーフライ級王座統一戦でフランコと対戦しドロー。統一戦1時間半前に尿検査を実施。
▽23・1・4 JBCが冷凍保管していた尿を米国の検査機関に輸送。
▽1・26 米国の検査機関からフランコ戦のドーピング検査で井岡のA検体から大麻成分が検出されたと報告を受ける。
▽2・17 WBO同級1位の中谷潤人との指名試合を義務づけられていたが、WBO王座を返上。
▽2・20 JBCが倫理委員会を設置し対応を協議。井岡サイドには内々で大麻成分検出を報告。
▽4・24 6月24日にフランコとダイレクトリマッチを行うことを発表。
▽5・26 JBCが国内で検査機関を選定。B検体の検査を行うことを井岡サイドに通知。
▽6・17 国内の検査機関からB検体からも大麻成分が検出されたと報告を受ける。
▽6・21 JBCが井岡のドーピング検査結果を発表。
▽6・24 WBA世界スーパーフライ級タイトルマッチでフランコに3―0判定勝ち。新王者となる。
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