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村田諒太「悔いなし」引退正式表明…イチから未来へ「今日という日はスタート」

[ 2023年3月29日 04:45 ]

<村田諒太引退会見>引退会見を行う村田(撮影・島崎忠彦)
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 プロボクシング元WBA世界ミドル級スーパー王者の村田諒太(37=帝拳)が28日、都内のホテルで会見し、現役引退を正式表明した。12年ロンドン五輪同級で金メダル獲得など日本人で初めてアマとプロの両方で頂点に立った現役生活を「総括で考えれば悔いはない」と表現。今後は未定ながらボクシングにこだわらずに活動していく方針で、「今日という日はスタートと思う」と強調した。

 哲学を語り、遠慮なく本音を明かし、丁寧に答える。言葉に詰まる場面もあったが、スーツ姿での引退会見は“村田らしさ”であふれていた。昨年4月、ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)との統一戦に敗れてから約1年。現役続行に傾くことは一度もなく、2月に帝拳ジムの本田明彦会長に意向を伝えた。「元々、ゴロフキン戦が最後だと思っていた。決断には時間がかかったが、これ以上ボクシングに求めるもの、ボクシング界にできることが見つからなかった」と説明した。

 世界的に選手層が厚く、日本人には難関とされた伝統のミドル級で五輪金メダル、2度の世界王座獲得に統一戦も実現させた。「もっとこうしていればとか、部分で言えば数え切れないくらい悔いはいっぱいある。ただ、ボクシング人生を総括して考えれば悔いはない」と話した。思い出すのは試合よりも練習など試合に至るまでの過程とし、「恩師や本当の仲間、いろいろな方に出会えた。ボクシングは目的ではなく、人生を充実させるためのツール(手段)だった」と表現した。

 指導者やプロモーターには消極的だが、今後は解説者などボクシングに携わりながらジャンルを問わずに活動する意向。海外ビジネスに必要な英語も一日3~4時間勉強しており「(頂点に立った)山を一度下りてイチからやるつもり」と決意を明かした。「金メダルを獲ったら(ゴールではなく)スタートだったし、世界王者もスタートだった。引退するが、今日という日もスタートと思う」と村田らしく未来を見つめた。

 ◇村田 諒太(むらた・りょうた)1986年(昭61)1月12日生まれ、奈良市出身の37歳。南京都高(現京都広学館高)―東洋大。11年世界選手権ミドル級銀、12年ロンドン五輪同級金メダルなどアマ138戦119勝(89KO・RSC)19敗。13年8月、プロデビュー。17年10月のエンダム(フランス)との再戦で7回TKO勝ちしてWBA同級王座獲得。18年10月、ブラント(米国)に判定負けで王座陥落も、19年7月の再戦に2回TKO勝ちで王座復帰。22年4月、IBF同級王者ゴロフキン(カザフスタン)との王座統一戦に9回TKO負けして陥落した。1メートル82の右ボクサーファイター。プロ通算19戦16勝(13KO)3敗。

 《帝拳ジム本田会長「体力と頭脳最高」》帝拳ジムの本田明彦会長は、ゴロフキン戦前の村田が膝と肘に故障を抱え「練習も70%ぐらいしかできなかった」と明かした。ただ、その後も米国から数億円の試合オファーが届いていたとし、「(日本人の)ファイトマネーを上げた功績は大きい。間違いなく今までで一番稼いだ選手」と説明した。村田を「体力と頭脳は最高の選手。努力でここまで来た」と評し、「これからの人生はボクシングで世界王者になるより簡単」とエールを送った。

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