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井岡 誤算ドローで統一失敗「勝っていると思っていた」 フランコと再戦よりエストラーダと「戦いたい」

[ 2023年1月1日 04:40 ]

WBO&WBA世界スーパーフライ級王座統一戦12回戦   WBO王者・井岡一翔 引き分け WBA王者ジョシュア・フランコ ( 2022年12月31日    大田区総合体育館 )

12回、フランコ(右)を攻める井岡一翔
Photo By スポニチ

 WBO世界スーパーフライ級王者・井岡一翔(33=志成)が薄氷のドロー防衛で王座統一を逃した。WBA同級王者ジョシュア・フランコ(27=米国)との王座統一戦はパンチの精度で勝りながら押される展開が続き、採点はジャッジ1人がフランコを支持し、残り2人が引き分けで0―1のドロー。WBO王座6度目の防衛に成功したものの、WBC&WBA王者となったミニマム級に続く日本人初となる2階級での2団体王座統一はならなかった。

 2本目のベルトには手が届かず、1本を守るので精いっぱいだった。八重樫東(大橋)を激闘の末に退けたミニマム級の統一戦から約10年半ぶりの王者対決は、決着がつかずにドロー。「期待に応えられなかったことをおわびしたい」。額に赤い傷をつけた井岡はリング上で謝罪した。

 相手の連打をブロックしながらガードの隙間を打ち抜くジャブ、カウンターの右ストレート、左ボディーを再三ヒット。パンチの精度は高く「勝っていると思っていた。手応えもあった」が、フランコの圧力と手数は止まらず、前半の採点はむしろ劣勢だった。7回以降に盛り返したものの決定打は打ち込めず「崩せると思ったら、立て直してきた。さすがチャンピオン」と称えるしかなかった。

 新型コロナウイルスの影響で21年末に予定していた統一戦が中止となり、2年越しで実現した舞台。3年ぶりに行った米ラスベガス合宿では101ラウンドのスパーリングを消化し、朝練では元統一世界ヘビー級王者マイク・タイソン(米国)らが走った山を駆け上がって下半身を強化した。2度目の統一王者へ向けた準備も試合運びも思い通りだったが、「ラスト4ラウンドをもう少しこうしていたら、というのはある」と悔いを残した。

 再戦については「できるのならしたい。決着はつけたい思いはある」と話す一方、ダイレクトリマッチ(直接の再戦)については消極的。むしろ「(フランコと)どちらと戦いたいかと言われればエストラーダ選手」と、かねて対戦を熱望し、この日はリングサイドで観戦したWBC王者との対決を希望した。

 負ければ引退の覚悟を常に背負いながら、次はどんな選択をするのか。11度目の大みそかを戦い終え「ここからは自分が試される。その流れの中で証明していかないといけない」と淡々と話した。

 ◇井岡 一翔(いおか・かずと)1989年(平元)3月24日生まれ、堺市出身の33歳。興国高で6冠を達成し、09年4月にプロデビュー。11年2月にWBC世界ミニマム級王座、12年12月にWBA世界ライトフライ級王座、15年4月にWBA世界フライ級王座を獲得。17年末に引退を発表したが、翌年9月に現役復帰し、19年6月に2度目の挑戦でWBO世界スーパーフライ級王座を獲得して日本人初の4階級制覇を達成。身長1メートル63・5、リーチ1メートル64・2の右ボクサーファイター。家族は恵美夫人と長男・磨永翔(まなと)君(3)、7月に誕生した次男・大空翔(たくと)君。

 ▽プロボクシングの勝敗 KOあるいは判定で決まる。KO決着にならず規定のラウンドを終了か、負傷で試合続行不可能となった場合は判定に委ねられる。ジャッジ3人の採点が3―0、2―0、2―1なら支持の多い選手の判定勝ち。1―0、0―0、三者三様なら引き分け。タイトルマッチの引き分けは王者の防衛で、統一戦なら両者防衛となる。

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2023年1月1日のニュース