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王座復帰失敗のジョシュアがベルト2本をリング外へ投げ捨てる暴挙 勝者ウシクを差し置いて独演会

[ 2022年8月21日 15:33 ]

プロボクシング WBAスーパー&IBF&WBO統一世界ヘビー級タイトルマッチ12回戦 ( 2022年8月20日    サウジアラビア・ジッダ )

2本のベルトを両手で掲げるアンソニー・ジョシュア(AP)
Photo By AP

 3団体統一世界ヘビー級王者オレクサンドル・ウシク(35=ウクライナ)との昨年9月以来の再戦に1―2で判定負けし、王座返り咲きを逃した前統一王者アンソニー・ジョシュア(32=英国)が試合直後、ベルト2つをリング外に投げ捨てる暴挙に出た。

 ジョシュアはウシクとともに、ウクライナ国旗を肩に掲げて判定を待った。読み上げられた採点は米国人のジャッジが115―113でジョシュアの勝利としたが、ウクライナ人と英国人のジャッジはそれぞれ115―113、116―112でウシクを支持。英スカイスポーツの映像によると、ジョシュアはWBAのスーパーベルトと米リング誌認定ヘビー級ベルトを両手で掲げ、怒りの言葉を口にしながらロープ越しにリングの外へ落とした。

 さらにジョシュアは何事か叫んで詰め寄ろうとしたが、陣営に制止されるとリングを下りた。タオルを花道へ叩きつけながら控え室への途中で立ち止まり、関係者に促されてリングへ戻った。英語を話さないウシクに対し一方的にまくし立てると自らマイクを握り、勝者よりも先に“独演会”をスタート。「俺のことを知っていれば、この情熱は分かるだろう。俺は5歳の頃から有望視されたアマチュアボクサーじゃなかった。刑務所に行くつもりだったが、保釈されてトレーニングを始めた。戦えるようになりたかったんだ」と生い立ちを語り始めた。さらに「ウシク(を称える時間)を盗んで申し訳ないが、情熱を注いだ結果がこのざまだ。そこの男は今夜、俺を倒した。もっとうまくできたかもしれないが、俺がどれだけハードワークしたかは見せられたので、我々の世界ヘビー級王者として彼に拍手を送ってほしい」「俺は12ラウンドを戦うファイターじゃない。ヘビー級における新種だ。マイク・タイソン、ソニー・リストン、ジャック・デンプシーも、ロッキー・マルシアーノのようなコンビネーションは打たなかった。俺は120キロだ。ヘビー級だ。それはハードワークなんだ」とテクニックに優れるウシクの戦い方がヘビー級らしくないと言わんばかりの持論を展開。最後は「そこの男は素晴らしい才能を持っている。彼を3度称えよう」とウシクを持ち上げ、約2分にわたるスピーチを終えた。

 会見では「俺はウクライナと、素晴らしい国から輩出される王者たちを研究していた。行ったことはないし、何が起きているのか分からないが、いい状況ではない。その中で王者となったウシクを称賛してほしい」と話した。ジョシュアの失意に理解を示す声もある中、練習パートナーのフレイザー・クラークは「誰かが彼を止めるべきだった」と振り返った。

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