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井岡 3年7カ月ぶりニエテスにリベンジ完勝V5!世界戦20勝で日本最多記録自ら更新

[ 2022年7月14日 05:20 ]

WBOスーパーフライ級タイトルマッチ12回戦   〇王者 井岡一翔《判定》同級1位 ドニー・ニエテス● ( 2022年7月13日    大田区総合体育館 )

9回、ニエテス(右)に右ストレートを見舞う井岡(撮影・島崎忠彦)
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 WBO世界スーパーフライ級王者・井岡一翔(33=志成)がリベンジに成功した。世界4階級制覇同士の対戦で同級1位の前王者ドニー・ニエテス(40=フィリピン)にフルマーク1人を含む3―0判定で快勝。1―2判定で敗れた18年12月以来3年7カ月ぶりの再戦を制し、5度目の防衛に成功した。井岡は日本最多記録を更新する世界戦通算20勝目(2敗)。昨年中止となった他団体王者との統一戦実現へ望みをつないだ。

 「マカオの借り、返したぞ~っ!という感じです」。会見場に姿を見せた井岡が絶叫した。顔に傷はない。6回に左目上、10回には右目上をパンチで切り裂かれ、流血したニエテスとは対照的。「過去に負けた相手にリベンジできた。KO勝ちを見せたかったけど、ニエテスのディフェンスのうまさが光ったので。完封して、明確に勝ててよかった」。ジャッジ3人の採点はフルマーク、8点差、6点差の完勝だった。

 18年の大みそか、マカオで行われたWBO王座決定戦でニエテスに判定負けした。当時はスーパーフライ級2戦目で、ディフェンスとフィジカルに優れた相手に有効打を打ち込めなかった。だが、この日はニエテスが打ち込めない距離と間合いを保ちジャブ、ボディーにワンツーと圧倒。「ワンパンチだとカウンターを狙ってくる」と連打の最後に必ず左フックを叩き込んだ。最終回まで攻撃の手を緩めず「やってきたことを全て出して完全燃焼したかった。3年7カ月、自分とニエテスが過ごした時間は間違いなく違うと思うし、リングでそれを証明できた」と胸を張った。

 リングサイドには恵美夫人と8月で3歳になる長男・磨永翔(まなと)くんがいた。恵美夫人は22日に第2子を出産予定ながら「いつでも病院に行ける準備をして」(井岡)、危険を覚悟でサポートのため会場に足を運んだ。「生まれてくる瞬間を王者として迎えてあげたい」。昨年のドーピング騒動などつらい時期を支えてくれた家族が増えれば、戦う理由も当然増える。新たなモチベーションを得てリングに上がった井岡は「生まれてもおかしくない状況で妻は何一つ妥協せずサポートしてくれた。感謝します」と頭を下げた。

 昨年末、IBF王者アンカハス(フィリピン)との統一戦が決まりながら新型コロナウイルスの影響で中止。アンカハスは今年2月にマルティネス(アルゼンチン)に敗れたものの再戦する予定があるという。その勝者が統一戦の標的だ。「大みそか、統一王者になっている姿を皆さんに見せたい」。統一戦の資格を得た井岡が高らかに宣言した。

 《ニエテス「休みたい」》ニエテスは再戦に敗れ「プレッシャーをかけることができなかった」と肩を落とした。3年7カ月前の対戦に比べて井岡のフットワークに苦戦し「プレッシャーをかけられなかった」と反省。前回との違いとして「井岡選手のパンチの力が強かった」と認めた。今後については「ひとまず休みたい。また試合にチャレンジできるようであれば望ましい」と語った。

 【データ】
 〇…井岡は世界戦通算20勝目。日本最多記録を更新した。内訳はミニマム級4勝、ライトフライ級4勝、フライ級6勝(1敗)、スーパーフライ級6勝(1敗)。2位は井上尚弥(大橋)の18勝。

 〇…井岡はプロで2度目の再戦。15年に当時WBA世界フライ級王者フアンカルロス・レベコ(アルゼンチン)に2―0判定勝ちで王座奪取。同年12月の2度目の防衛戦で再戦し、11回TKO勝ちした。

 〇…世界戦で敗れた相手との再戦で、雪辱した日本人世界王者は14人、15例目(輪島功一が2回)。従来の再戦は、挑戦失敗か防衛失敗後に王座を奪取するパターンで、挑戦失敗→防衛は井岡が初めて。

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