谷口11回TKOで初防衛 体重超過の挑戦者とメリットなき“当日計量マッチ”「一番収まりいいところ」
WBO世界ミニマム級タイトルマッチ12回戦 〇谷口将隆 TKO11回2分29秒 石沢開● ( 2022年4月22日 後楽園ホール )
WBO世界ミニマム級王者・谷口将隆(28=ワタナベ)が石沢開(25=M・T)との2年7カ月ぶりの再戦に11回TKO勝ちし、初防衛に成功した。前日計量で石沢がリミットの47・6キロを2・3キロオーバーして挑戦者資格を喪失したが、当日計量が上限と定められた50・6キロだったため試合自体は実施。谷口が負ければ王座が空位となるリスクのある変則タイトルマッチだったが、完勝で騒動を無事に収束させた。
「一番収まりがいいところに収まってよかった」。開口一番、谷口は関係者の思いを代弁した。石沢の当日計量で試合が成立し、メリットのない対戦を受けた王者がベルトを失わずに済んだ。
スピードとテクニックで完勝した。初回の石沢の動きを見て体調は問題ないと判断。マタドールのように軽快なステップとボディーワークで攻撃をかわしながら、ボディー、アッパーとパンチを突き刺した。最後は強烈な左を打ち込んでレフェリーストップ。「最後まで(勝てるという)余裕はなかった。それだけ集中していた」。判定勝ちしながらも唯一のダウンを喫した19年9月の試合を忘れず、逆に世界王者としての進化を見せつけた。
石沢が前日計量の1回目で2・5キロオーバー。国内ルールなら再計量もなく試合中止となるケースで、再計量でも200グラムしか落ちていない状況に、一時は「やりたくない」と拒否した。それでも試合成立の条件が整い、食事を終えると「明日頑張ればいいか」と気持ちを切り替えた。2カ月前から減量を開始し、菓子や間食をやめる一方で、体に効果的な食材として毎食200グラムの白米を摂取。リミットまで落としても完璧なコンディションに不安はなかった。
試合後、リング上で「すみませんでした」と謝罪した石沢に「もう謝らなくていい」と返した。実直な性格は把握しており、「限界までやって、何かアクシデントがあったと分かった」と気遣った。「反省していると思うし、これからの彼を見守ってほしい。失敗から学ぶことがある」。3度の黒星を経て世界をつかんだ谷口らしいコメントだった。
◆谷口 将隆(たにぐち・まさたか)1994年(平6)1月19日生まれ、神戸市出身の28歳。中1でボクシングを始める。神戸第一高―龍谷大。16年4月プロデビュー。18年11月、WBOアジア・パシフィック・ミニマム級王座獲得。19年2月、WBO同級王座挑戦失敗。20年12月、日本同級王座獲得(防衛1)。21年12月、メンデス(プエルトリコ)に11回TKO勝ちでWBO同級王座獲得。1メートル62の左ボクサーファイター。
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