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“プロレス界の顔”オカダ・カズチカ 格好良くなくてはならない美学「喜怒哀楽をしっかり見せたい」

[ 2022年1月23日 05:30 ]

雄叫びを上げるオカダ・カズチカ(撮影・木村 揚輔)
Photo By スポニチ

 【俺の顔】リングにカネの雨を降らせる男。「レインメーカー」ことプロレスラーのオカダ・カズチカ(34)だ。2012年に史上2人目の若さでIWGPヘビー級王座を奪取して以来、新日本プロレスのトップレスラーとして第一線で引っ張っている。甘いマスクと確かなレスリング技術で、今や“プロレス界の顔”に。リング上では常にファンからの目線を意識する。そこにはオカダなりの美学がある。

 毎年恒例の1月4日。入場曲「RAIN MAKER」が流れると、ド派手な金色のガウンに身を包んだオカダが東京ドームに姿を現す。自身の顔が印刷された札束が乱舞する中、両手を大きく左右に広げて天を仰ぐ。リング上では、どこか色気のある不敵な笑みをのぞかせる。

 「入場ゲートを越えるとスイッチが入り、本名の岡田和睦からレインメーカーになります。お客さんを意識すると自然と顔つきも変わる。僕にとっては入場曲が仮面ライダーの変身ベルトのようなものです」

 試合中にはめまぐるしく表情が変化する。相手をあおる挑発的なまなざし。技を全身で受け止める時の苦悶(くもん)の顔。そして自身の必殺技「レインメーカー」を決め3カウントを奪う時の渾身(こんしん)のドヤ顔。「どんなにつらくても必ず顔を上げます。だって一番格好良く見せなければいけない瞬間ですから」

 19歳で新日本プロレスの道場に入寮した頃は「痛みを顔に出すな」という教えが主流だった。「でも僕は痛いモノは痛いと思うし、怒る時は怒る。喜怒哀楽をしっかりと見せたい」。自身の師であるウルティモ・ドラゴン(55)からの学びだ。

 中学生の時に兄が偶然持っていたプロレスのテレビゲームがきっかけで、新日本プロレスを見始めた。ただ当時は皆が黒いショートタイツをはき、玄人好みのストロングスタイルが主流で興味が続かなかった。そんな中、少年の心をつかんだのがウルティモが設立したメキシカンスタイルの「闘龍門」。奇抜なマスクやカラフルなコスチュームのレスラーが空中殺法を繰り広げる姿に魅了された。中学卒業と同時に「闘龍門」の門を叩いた。厳しいトレーニングを乗り越え、やがて新日本に移籍。11年には金髪に変え現在のスタイルに。「リングに上がったら自分が一番であり、格好良くなくてはならないという師匠の言葉を大切にしています」。人を楽しませることへの強いこだわりが原動力だ。

 タイトルマッチの日は決まってスーツで会場入りし、プライベートでは愛車の真っ赤なフェラーリ488GTBを乗り回す。「人にどう見られるか、どうしたら憧れてもらえるか、常に考えます。それが自分の仕事なので」

 12年に最強の象徴であるIWGPのベルトを巻いてからは表情にも変化が出てきたという。「責任が増えて男らしくなった。我ながらいい年の取り方をしていると思う」

 ただ、15年に引退試合の相手を務めた天龍源一郎(71)にはまだ遠い。レインメーカーで引導を渡したが「あの顔は理想。なぜなら“いかにもプロレスラー”という顔ですから」。痛みが伝わる激しすぎる技の攻防で昭和のプロレス界に革命を起こしたミスタープロレスに一歩でも近づきたいと願っている。

 私生活では19年に声優の三森すずこ(35)と結婚。リングとは異なり家では常に穏やかだ。オフでも一番近くにいる最愛のパートナーを楽しませることは変わらない。「記念日にはサプライズを欠かしません。素敵なレストランを予約したり…。喜んでもらうことが大好きなんです」

 IWGPヘビー級王座とIWGPインターコンチネンタル王座の統一により昨年新たに創設された「IWGP世界ヘビー級王座」のベルトを、4日の東京ドームで鷹木信悟(39)から奪取。翌5日にはウィル・オスプレイ(28)の挑戦を退け防衛に成功した。

 「新日のチャンピオンであるということは“プロレス界の顔”そのもの。だから自分のことだけではなくプロレス界全体のことを常に考えています」。打点の高いドロップキックや無尽蔵のスタミナ、フィジカルの強さが客を呼ぶ。

 アントニオ猪木氏(78)が率い、新日本の源流にあるストロングスタイルをさらに進化させた“オカダスタイル”。「プレッシャーは感じていない。自分のプロレスでお客さんを満足させられる自信がある」。言葉の端々からにじみ出る王者のプライド。今日もまた、リングにカネの雨を降らせる。

 《著書で人生観つづる》昨年12月に発売した著書「『リング』に立つための基本作法」(幻冬舎)では自身の人生観をつづっている。プロレスのことだけでなくSNSとの付き合い方や、失恋体験などプライベートな話題も赤裸々に告白。新日本プロレス創始者のアントニオ猪木氏への思いも明かしている。「自分がどういう考えをしているか知ってほしかった」とアピール。「(執筆を経て)自分は人の支えがあって生きているんだということを改めて感じた。感謝することの大切さ。それが伝われば」と語った。

 ◇オカダ・カズチカ 1987年(昭62)11月8日生まれ、愛知県出身の34歳。15歳で闘龍門に13期生として入門。04年にメキシコでデビュー。07年に新日本プロレスに移籍。12年に「G1 CLIMAX」に初出場し史上最年少の優勝記録を更新。16年に第65代IWGPヘビー級王者となった際は史上最多の12回連続防衛記録を樹立した。趣味はバス釣り。1メートル91。血液型A。

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